"クリニックの天才少女" 第4話
「先、こんにちは。今もお世話になりますよ。」
「岸さん、いらっしゃい。調子はどうですか?」
「いや、まあ、ぼちぼちですな。膝がね、相変わらず。」
翔太が診察していつもの検査をした。
「岸さん、特に異常はありませんよ。お変わりないですね。いつもの薬しておきます。」
「ありがとう、先。」
岸さんはニコニコしながら会計を済ませて帰っていった。
何事もないいつも通りの診察だった。なくとも私たちにはそう見えていた。
そのの夕方、診療が終わり翔太は片付けをして先に帰った。
せ子もいつものに「お先に失礼します」とていった。
私が最のカルテをいていると診察のドアが控えめにノックされた。
「院先、しおいいですか?」
メイだった。メモ帳を持ったままおずおずとっている。
「どうしたの?」
「あの、岸さんのことなんですが。」
「岸さんがどうかしたのかい?」
メイはし躊躇した。唇を噛んで何かを決めるように目を閉じて、それからをいた。
「歩き方が先週とし違うんです。」
「歩き方?」
「はい。の踏みしが先週よりほんのし 3cm くらいくなっています。それと瞬きの隔がわずかに規則になっていて、の握る力もし落ちている気がします。」
私はメイの顔を見た。声は震えていた。に持ったメモ帳がブルブル揺れている。
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でも目だけは真剣だった。嘘をついている目じゃない。ふざけている目でもない。本気で配しているの目だった。
正直に言えば驚いた。の踏みしが 3cm い。瞬きの隔が規則。
そんなこと普通は気づかない。30 医者をやっている私でも言われなければ見落とすレベルの変化だ。
「メイ、どうしてそんなことに気づいたんだ?」
メイは俯いた。しばらく黙っていた。それからぽつりと言った。
「分かりません。子供の頃から見えるんです。のわずかな変化が。が変わるみたいに目にび込んでくるんです。」
子供の頃からが変わるみたいに、議な言い方だった。でもその言葉に嘘はないようにえた。
検査データには何もていない。普通なら「気のせいだろう」で終わる話だ。
翔太ならきっとそう言うだろう。清掃員の勘で患者の配をされても困ると。
でも私は 30 目のの患者を見ることを信条にしてきただ。
データにないものを見る。その切さを誰よりもっているつもりだ。
それに彼女の目がどうしても気になった。あの目はただの勘でものを言っているの目じゃない。
「分かった。のため精密検査に回してみよう。」
私がそう言った、メイの目にみるみる涙が滲んだ。慌てて袖で拭ってくをげた。
「ありがとうございます。
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ありがとうございます。」
同じ言葉を 2 度繰り返した。その声が震えていた。
信じてもらえた。話を聞いてもらえた。たったそれだけのことがこの子にとってはどれほどのを持つのか。胸の奥がじんとくなった。
数、精密検査の結果が届いた。
封筒をけて報告に目を通した瞬、私は息をんだ。
初期段階のな疾患が見つかった。
通常の検査では検が難しく、自覚症状もほとんどない段階。
しかし確実にしていて、あと数ヶ放置すれば取り返しのつかないことになるところだった。
期発見で岸さんの命が救われたのだ。
岸さん本も驚いていた。
「まさか全然気づかなかった。先、ありがとうございます。先に見てもらっていなかったらとうと。」
岸さんは何度も何度もをげて帰っていった。
でも本当に謝すべきは私じゃない。
岸さんが帰った、私はメイを呼んだ。
「メイ?」
「はい。」
「岸さんの検査結果がた。君の言う通りだった。初期段階で見つかったおかげで期に治療を始められる。放置していたら変なことになっていた。」
メイの唇が震えた。でも何も言わなかった。ただきっとメモ帳を握りしめていた。
「どうしてあんなことに気づけたんだ?30 医者をやっている私でも見落としていたのに。
」
メイはしばらく黙っていた。それからさな声で言った。
「昔、母の体がおかしいことに気づいていたんです。顔とか息の仕方とか歩き方とか、全部いつもと違うって分かっていました。何度も何度も病院にこうって言いました。でも母は丈夫よって笑うばかりで。」