"クリニックの天才少女" 第1話
卒ですが働かせてもらえませんか?
野県の奥にあるさな診療所まであと 1 ヶ。そんな所にの女性が現れた。
私は言った。うちは学歴じゃない、を切にえるかどうかだ。
周りのたちはたい目を向ける。
卒に何ができるんだ?
その 1 ヶ、さな診療所で本の医療を変える奇跡が起きた。
彼女の目には医者の私にも見えないものが映っていたのだ。
私の名は藤原吉。68 歳。
野県の奥にあるさな診療所、藤原クリニックの院だ。
舗装が途切れた細いを抜けると杉林に囲まれたさな集落が現れる。
澄んだ空気のに鳥のさえずりと川のせせらぎだけが聞こえる。
そんな静かな所に私の診療所はある。
い壁は所々あせ、根の端にはコケがえている。
待に古びたベンチが並び、壁にはきの健康ポスターが貼ってある。
お世辞にも派な診療所とは言えない。
でもここは私の全てだ。
30 私は京の学病院にいた。
将来の教授候補なんて言われて当は順満帆に見えていたとう。
でも私は学病院の医療にどうしても馴染めなかった。
診察で医師たちがやっていたのはパソコンの画面を見ながらカルテを打ち込むこと。
患者さんが話しかけても目をわせない。
顔も見ない。
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表も見ない。
「先、最ちょっと体がだるくて。」
「はい。じゃあ血液検査しましょう。次の方どうぞ。」
流れ作業のような診察、効率はいいのかもしれない。
でも私にはそれが医療だとはどうしてもえなかった。
医者はデータだけじゃない。
目のの患者をどれだけ見ているか。それが私の信だった。
その信を貫いた結果私は学病院をった。
周囲には驚かれた。
「もったいない。なぜわざわざ田舎にくんだ。」
でも迷いはなかった。
この奥の集落に診療所をいてもう 30 になる。
お寄りのを握りながら話を聞き、子供の顔を見て声をかける。
そんな当たりのことをずっと続けてきた。
町のたちは私のことを先、先と呼んで慕ってくれた。
それが私にとって何よりの誇りだった。
しかし代は残酷だ。
若いたちは町をれ、は々減っていった。
患者さんも減った。
それなのに古い医療器の維持費や建物の修繕費は膨らむばかり。
気づけば借は 5000 万円にまで膨れがっていた。
先週メインバンクの担当者からこう告げられた。
「藤原先、来末までに返済の目途がたなければ融資を打ち切らせていただきます。」
融資が止まれば薬の仕入れも器のリースも気代すら払えなくなる。
つまり廃業だ。
30 守ってきたこの所があと 1 ヶで消えてしまう。
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私は誰にも見せないように診察の奥でため息をついた。
この診療所で緒に働いているのは 2 。
息子の翔太 35 歳。私と同じ志だ。
私の背を見て育ち、医学部にみ、数にこの診療所に戻ってきてくれた。
ありがたいことだ。
でも翔太は最苛ちを隠せなくなっていた。
「親父の理は派だよ。でも理だけじゃ経営は回らないだろう。」
にはさなくてもその焦りは伝わってきていた。
もう 1 は事務の松本せ子。65 歳。
私がこの診療所をいたからずっと支えてくれている女性だ。
受付も会計も類仕事も全部 1 でこなしてくれている。
は良くない。調もぶっきらぼうだ。
でもこの診療所のことを誰よりもっている。
なくてはならないだ。
そんな 3 で静かに働くあるの午のことだった。
ふと診療所の入にの気配がした。
顔をあげると 1 の若い女性がっていた。
あせたカーディガンにくたびれた運ズボン、に乱れた髪、細い体にボロボロのカバンをげている。
そのには 1 枚の封筒が握られていた。
「あの、すみません。」
震える声だった。
消え入りそうなほどさな声でもその奥に何か必なものが滲んでいた。
「卒なんですがここで働かせてもらえないでしょうか?」
瞬空気が止まった。
受付にいたせ子がちらりとこちらを見た。
奥にいた翔太もを止めた。
「どうぞお入りください。」
私は受付からて彼女を待の子に案内した。