"災いの男、女だけの島" 第8話
は子供たちの咳む音と女たちの祈る声でざわついていました。
富士が見回り組と共に古社へ向かうのを確認し、千代は吉助に図を送りました。
吉助はの周りに引かれた境界線を超えました。が落ちてからにたのも初めてなら、のへ入るのも初めてでした。
彼の臓は激しく打っていましたが、それは恐怖のためだけではありませんでした。
彼はに紛れ、素くの央にある穀物倉へと向かいました。千代はしれた所で見張りをすることにしました。
倉は造りで、入りはいの扉で閉ざされていました。彼は隙からを伺いました。
幸いさな勝のような扉があり、そこの板材は緩んでいました。
議なほど簡単にけられることに瞬違を覚えましたが、今は猶予がありません。
彼は忍ばせていた枝を使って慎に扉をけました。
倉のへを踏み入れた途端、彼のをついたのは蒸し返るようなカビと腐敗の匂いでした。まるで湿気が淀んでいるかのようです。
彼はかりを頼りに倉のを調べました。そして驚きました。
倉は漏りをしていたのか、片側の壁がじっとりと濡れており、そこに積まれた穀物の俵は面青や黒のカビで覆われていました。
がるに収穫した穀物を分に乾かさずに積みげたことがでした。
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吉助はこれが疫病の原因であると確信しました。
彼は証拠を掴むため、カビが最もひどくえた穀物の束をいくつか布に取りました。
この腐った穀物を直ちに全て処分し、子供たちには別のべ物を与えねばならない、々を説得せねばなりませんでした。
彼は急いで勝からようとしました。
お帰りなさいませ旦様。お腹空いていらっしゃるでしょう。くを洗ってお入りください。
剣造の声はの疲れを癒してくれる優しい響きだった。
剣造はに持っていた鶏と菓子を照れ臭そうに差しし、来る途で腹が減るかとってし買ってきたと消え入りそうな声で言いました。
お文はその粗末な贈り物を受け取るとしばし言葉を失いましたが、やがてるく笑い、ありがとうございます。本当にありがとうございますと挨拶しました。
その笑顔を見た剣造は今の疲れが解けのように消えるのをじました。
その夜は狭い膳を挟んで座り、剣造が買ってきた鶏を分けってべました。
くの会話はありませんでしたが、部のは温かい空気で満たされました。
剣造は妻がよくべる姿を見て満し、お文は剣造が見かけによらずのいであることを再確認し、の扉をしずついていました。
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しかし、お文のの片隅には以としての種が育っていました。昼井戸端へを汲みにって聞いた噂のせいでした。
松本の親戚が々このに押しかけてくるだろうというらせはお文にとっての霹靂のような話でした。
もし親戚が来て自分の顔を見れば、本物のお様ではないという事実が即座にバレてしまう。
お様は連れ戻され、自分と剣造は役所に引かれてひどい目に遭うのはらかでした。
お文は鶏のにかぶりつきながらもが分からないほど焦燥に駆られましたが、努めて平然を装い剣造の顔を伺いました。
剣造もまたで聞いた話を妻に伝えるべきか否か悩んでいましたが、怯える妻の顔を見るのが怖くて、どうしてもにせず、ただ黙々と飯をべるだけでした。
のには言えない秘密と配がのようにち込めていました。
夜更け、に就く。剣造は向いの部へこうとして敷布を掴んでち止まり、しばし躊躇した背を向けたままぽつりと言を投げかけました。
誰が来て何を言おうと、俺の許しなく戸をけてはならん。俺が全部防ぐから。
その言葉はまるでお文が抱いていたを見抜いたような言葉だったので、お文は驚いて剣造のろ姿を見つめました。
剣造はそれ以の説もなくていってしまいましたが、その断固とした声はお文にとってきな慰めとなり、同にさらにきな罪悪を抱かせました。