"48億の離婚届" 第2話
文章は無駄がなく、曖昧さもない。弁護士である浩司らしい類だった。
けれど、そこに32の活のみはなかった。
財産の部分は、浩司の名義、あるいは彼が代表を務める法律事務所の関連法を通じて管理されていた。自宅産、融資産、事業収益。そのくは法に理され、夫婦共財産として扱われる部分は最限になるよう組まれていた。
恵子に提示されたのは、活を維持するための最限の支援だった。
法には破綻していない。
類としてもっている。
しかし恵子は、胸の奥に鈍い痛みを覚えた。
自分が庭を守ってきたは、どこに記されているのだろう。
浩司が夜遅くまで仕事をしていた、恵子は事を温め直し、翌朝の予定をえていた。依頼との会があるは、装を確認し、必なものをさりげなく用した。元の集まりでは夫の評判を損なわないよう、控えめに振るった。
浩司の職業成功の背景には、庭の定が確かにあった。
しかし、類のでは、それらは数字にならなかった。
献という言葉も、支えという言葉も、法な配分の項目にはしなかった。
恵子は類を閉じ、机のにを置いた。
喪失はきかった。
けれど、それ以にく残ったのは、自分のそのものが軽く扱われたような覚だった。
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翌からも、見の活はすぐには変わらなかった。
朝、恵子はいつものに起きた。台所で湯を沸かし、急須に茶葉を入れた。茶碗に湯を注ぐ音が、静かなに響いた。
卓には、2分の器をしそうになって、が止まった。
それでも恵子は1分だけをえた。
所のと会えば、いつものように挨拶をした。文化活の打ちわせにも席した。福祉関連の催しの準備にも顔をした。
周囲の々は、表面は何も変わらないように接してくれた。
しかし、微妙な距があった。
以なら何気なく続いた会話が、しく終わる。誰かが浩司の名をしかけて、途で言葉を濁す。線が瞬だけ揺れる。
静岡県の方都では、ととの距がい。
、模範な夫婦として見られてきた2の婚は、直接にされなくとも、周囲の関の対象となった。誰も骨に聞きはしない。だが、沈黙のに憶測と同と戸惑いが混ざっていた。
恵子はその空気を理解していた。
だからこそ、を表にさなかった。
で泣けば、話題になる。
りをにすれば、さらに憶測が広がる。
彼女はこれまで通り、落ち着いた態度を保った。
けれどに戻ると、静けさはかった。
リビングの子、玄関の靴箱、夫が使っていた斎の扉。のには、浩司の気配がまだ残っていた。
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けれど、その気配は温もりではなく、理されずに残された痕跡のようだった。
恵子はつひとつの部を歩きながら、自分のを見直していた。
結婚という制度ので、自分は何を守ってきたのか。
その結果として、何を得たのか。
そして、何を失ったのか。
答えはすぐにはなかった。
ただつだけ分かっていた。
これからは、誰かの妻としてではなく、恵子という1のとして、自分の尊厳を守らなければならない。
そのいが、彼女の内側で静かに形を取り始めていた。
婚続きがむで、恵子はしずつ別の事実をるようになった。
浩司の決断は、突然のでまれたものではなかった。
1以から、彼はしい活の準備をめていた。
それは、弁護士としての識と経験を最限に活用した、周到な準備だった。法律事務所の関連法を通じた資産理。自宅産や融資産の名義確認。事業収益の管理体制の再構築。
恵子は類の説を受けるたびに、の奥がしずつえていくのをじた。
浩司は、ただ婚を望んだのではない。
婚の自分のを守るために、先に盤を固めていたのだ。
夫婦として過ごしているも、彼はすでにを見ていた。
その事実は、恵子にとってい傷となった。
夕方、彼女はひとりでの台所にっていた。
鍋ので噌汁が静かに湯気をてている。包丁で豆腐を切りながら、ふとが止まった。