"いただきますのない食卓、私は家を出た" 第5話
彩佳は自分のみ物を取ろうとで台所へ向かった。
気の消えた暗い台所。
いつもなら滴つ残さずピカピカに磨きげられているはずのシンクには、朝に族が使ったコーヒーカップや皿がそのまま放置されていた。
「うわ、汚いな」。
彩佳は顔をしかめながら蔵庫をけようと線をげた。
シンクのの引きしがほんのしだけいていたのだ。
みわがいつもレシピや計簿をしまっていた所だった。
何気なくその引きしにをかけた彩佳は、番に置かれていた冊の古いノートに目を止めた。
見慣れないノートだった。表にはみわの丁寧な文字でくこうかれていた。
『族のこと』
彩佳はそのノートにそっとを伸ばした。
には体何がかれているのか。
このの彩佳はまだ、この冊のノートが自分たちの傲ない込みを全て打ち砕く爆弾になることなど像もしていなかった。
をて目の朝、松井のリビングはたったで信じられないほど荒れていた。
「おい、このゴミ誰か捨ててこいよ。臭くて叶わん」。
夫の孝志はをつまみながら声を荒げた。
台所の隅にあるきなゴミ箱はすでに限界を迎えていた。
昨族がそれぞれ買ってきたコンビニ弁当の空き箱やべ残し、ピザの箱などが無造作に押し込まれ、蓋が閉まらなくなっているのだ。
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「そんなこと言ったってゴミの分別なんてわからないわよ。今は何のゴミのなの?」
姑のかよが杖をつきながら顔をしかめる。
27、のゴミ箱からゴミを集め指定の袋に丁寧に分別し、い袋を引きずって集積所まで運んでいたのは全てみわだった。
族の誰としてゴミの収集曜すら把握していない。
「俺はもうくからな。遅刻する」。
男の翔太はゴミのから目を背けるようにして逃げるようにをていった。
次男の匠も「俺も学くわ」と鞄を背負う。誰も片付けようとしない。
荒れた台所を見つめながら孝志はイライラとを掻きむしった。
今も彼はシワだらけの古いシャツを着ている。
着の悪さとのの荒れ放題が彼の神経を逆なでしていた。
「いい加減にしろよ、みわのやつ。いつまでを張っているつもりだ」。
孝志はスマートフォンをポケットから取りした。
画面を見つめる彼の目に酷なが宿る。
「あいつをし追い詰めてやる。自分がどれだけ無力かいらせてやる必があるな」。
「追い詰めるってどうするのよ?」
かよが議そうに尋ねると、孝志はで笑った。
「ばあさん、あいつは俺の収入がなければだってきていけないんですよ。パートの稼ぎなんてせいぜい遣い程度でしょう。
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だからあいつに持たせている族カードを止めてやります。ついでに活費を入れている座からもおを引きせないようにしてやる」。
かよの顔がパッとるくなった。
「まあそれはいいわね。おがなければホテルにも泊まれないし、美しいものもべられないわ。きっと今頃どこかの公園で寒空の震えているんじゃないかしら」。
「全くだ。経済な逃げを塞げばすぐに音をげて泣きついてきますよ。俺がどれだけきな器で養ってやっていたか、を持ってるべきだ」。
孝志はスマートフォンのアプリを操作し、みわ子がスーパーでの買い物などに使っていたクレジットカードの族カードをあっさりと利用止にした。
そしてメッセージアプリをき、酷な文章を打ち込んだ。
『族カードは利用止にした。活費の座も暗証番号を変えた。おみたいなパート主婦がおもなしにできていけるわけがないだろう。今すぐ座して謝って帰ってくるなら今回だけは許してやる。これ以を張って追い込まれるに、自分のをよく考えろ』
送信ボタンを押した孝志は満げに笑った。
「これで今の夕方には泣きながら玄関のにっているはずですよ」。
そのやり取りを、階段ので女の彩佳が静かに聞いていた。
彼女の通勤カバンのには、昨台所の引きしで見つけた『族のこと』とかれた古いノートが入っている。