"いただきますのない食卓、私は家を出た" 第4話
蔵庫のは見事なまでに空っぽだった。
作り置きのタッパーなどつも入っていない。
いつもみわが自分の事の準備から片付けまで、全て魔法のように終わらせてくれていたのだという現実が、かよの胸にくのしかかり始めていた。
夕方になれば族が帰ってくる。
そうすればこの静かで便なも終わる。
かよはそう自分に言い聞かせるしかなかった。
しかし、彼らが直面する現実はそんなに甘いものではなかった。
みわがただの主婦ではなく、このを根底から支えていた臓そのものであったことに、彼らはまだ気づいていない。
そして女の彩佳が台所の奥であるものを見つけるまで、あとしのが残されていた。
夜7、いつもなら玄関のドアをけた瞬、温かいお汁のりやお肉の焼けるばしい匂いがに漂っているだった。
しかしそのののは暗く、めきっていた。
「ただいま、腹減った。飯は?」
男の翔太が帰宅し、リビングに仕事用のカバンを放り投げる。
ソファにうずくまっていた姑のかよがり果てた声で答えた。
「みわ子はまだ帰ってこないのよ。私、お昼からお茶とせんべいしかにしていないわ」。
「はあ、まだってんの?いい加減にして欲しいよな。パートから帰ってきたら普通はすぐ夕飯の支度するだろう」
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翔太はネクタイを乱暴に引き抜きながら舌打ちをした。
自分はで働いて疲れているのだから、に帰れば事が用されているのが当然だ。そう信じて疑わない様子だった。
そこへ玄関のドアがたくく音が響いた。夫の孝志が帰宅したのだ。
その表は見るからに嫌だった。
、首回りのきつい古いワイシャツを着て仕事をしたせいで、すっかり苛っていた。
「おい、みわ子はいるか?」
リビングにを踏み入れた孝志は、テーブルのに何もないのを見てきなため息をついた。
「まだ帰ってないのか。全くあの女は自分がどれだけ恵まれているか分かっていないんだ。俺の稼ぎで活させてもらっているくせに、し嫌を損ねたからってする真似を」。
孝志の言葉にかよもく頷いた。
「そうよ。私がどれだけ嫁に気を遣ってしてやっているか、しがいと言ったくらいでびすなんて、母親失格ね」。
その、次男の匠と女の彩佳も相次いで帰宅した。
2のにはコンビニエンスストアの袋やファストフードの袋が握られていた。
「あー、洗濯かごの、洗濯物が盛りだったよ。着るないんだけど」。
彩佳が満に言いながら買ってきたサラダの容器をテーブルに置く。
「お母さんいつまでストライキすんの?マジで迷惑なんだけど」
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匠もハンバーガーをかじりながら同した。
族の誰としてみわのを案じるものはいない。
それどころか、自分たちの世話を放棄した勝なとして彼女をたく見していた。
孝志はで笑いながら言った。
「放っておけ。どうせく当てなんてないんだからな。あので調理補助のパートなんかで暮らしできるわけがない。どうせにはおが尽きて泣きついて戻ってくるに決まっている。ただのパート主婦でしか役にたない、ではきていけない」。
それが族全員が抱いている共通の認識だった。
彼らはらなかったのだ。の世界ではみわの料理の腕がく評価され、すでに正社員としてのがかれていたことなど。
やがて翔太もでピザを頼み、族5の夕が始まった。
テーブルのにはプラスチックの容器やピザの空き箱が無造作に広げられている。
テレビのバラエティ番組がきな笑い声を響かせる。
族はそれぞれのスマートフォンやテレビの画面を見つめながら、無言で来いの事を胃に流し込んでいた。
皮肉なことに、昨までの作り料理を無言でべていたと同じように、「いただきます」の言葉は誰のからもなかった。
、誰もテーブルを片付けようとはしなかった。
器の皿や空き箱が散乱したままの景は、このの秩序がしずつ崩れ始めていることを静かに物語っていた。