"画面の中の失踪少年" 第1話
20215、京に本社を置くあるソフトウェア企業では、半期ごとのオンライン会議がかれていた。
コロナ禍によって宅勤務が当たりになり、社員たちの顔は会議ではなく、画面のさな角い枠のに並ぶようになっていた。以なら本社の会議に集まり、資料を配り、ホワイトボードので見を交わしていた。だが今は違う。誰もが自宅や拠点のから参加し、声も表も、すべてインターネット越しに届けられていた。
世の全体がに包まれていた。は制限され、取引先との面談も減り、会社を取り巻く環境は決して楽ではなかった。それでも経営者にとって、定例の数字確認は種の定剤のようなものだった。変化の激しい期だからこそ、数字を見て、現状を共し、次の判断をす必があった。
社の川健は、自宅の斎でノートパソコンをいていた。机のには会議資料、元には黒いボールペンとコーヒーカップが置かれている。背の本棚には、報学や経営に関する本が然と並んでいた。
川は静で理性な物だった。学では報学を学び、卒業にシステム発会社を起業した。20余りで会社を育て、業界でも目置かれるになっていた。物事を判断する、彼は数字や論理をした。
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直や偶然に頼ることはほとんどない。
その川の価値観を揺さぶる来事が、そのの会議で起ころうとしていた。
午10、Zoomの画面に社員たちが次々と入してきた。本の営業担当、関のマーケティング部、関圏の発チーム。画面のには、それぞれの部の壁やカーテン、照のが映っていた。
「おはようございます」
「音声、丈夫でしょうか」
「資料、共されています」
そんないやり取りが続いた、会議はいつものように始まった。最初は各拠点の況報告、そのに売、利用状況、顧客向の確認へ移った。社員たちは淡々と画面を見つめ、必なところで発言し、ビジネスの空気はいつも通り流れていた。
そのに、データ分析を担当する社員、介の姿があった。
は34歳。入社して3が経つ。目つ社員ではなかった。社内イベントにもほとんど参加せず、同僚と私な会話をすることもない。昼休みも1で過ごすことがく、話しかけられれば丁寧に返すが、自分から輪のに入ることはなかった。
ただし、仕事ぶりは確かだった。膨なデータのから必な傾向を見つけ、数字の違を拾い、資料にまとめる能力は社内でもく評価されていた。営業担当からも、発チームからも、彼の分析資料は信頼されていた。
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そのが、今は珍しく発表を任されていた。
「では、4以の利用状況について説します」
はし線を落とし、画面共を始めた。Excelのグラフが表示され、折れ線と棒グラフが画面いっぱいに広がった。彼はマウスで数値を指し示しながら、淡々と説していった。
「こちらが別のログイン数です。緊急事態宣言以、平夜の利用が増えています。特に、既ユーザーの滞が伸びています」
声は落ち着いていた。余計なを挟まない説だった。社員たちは画面を見ながら頷き、川も最初は資料に集していた。
しかし、が顔をげた瞬だった。
部のが、彼の顔をはっきり照らした。普段はし暗い画面ので曖昧に見えていた輪郭が、その瞬だけ鮮に映った。
川のが止まった。
頬に、さな型の痕があった。眉のには、細い傷跡が残っていた。
その2つの特徴を見た瞬、川の記憶の奥に沈んでいた映像が気に浮かびがった。
1996の。故郷の仙台。町の掲示板、郵便局、スーパーの入、商の柱。そこに貼られていた1枚の方児童のポスター。
奏太、9歳。
頬に型の痕。眉のに細い傷跡。
川は当15歳だった。域の捜索活に参加し、同級と緒に町のを歩き回った記憶がある。
見つからなかったの顔は、町全体の痛みとしてく残っていた。
まさか。
川はのでそう呟いた。
会議は続いていた。