"山寺に消えた妻" 第2話
をりた健斗は、たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
「空気が本当に違うな」
佐藤もをり、軽くをげた。
「会、私は母に挨拶してまいります。どうぞ、ゆっくり見て回ってください」
健斗は1で境内を歩いた。
鈴の音が、に乗ってかすかに聞こえてくる。元の砂利を踏む音さえ、妙によかった。7ぶりに、のがし澄んでいくようだった。
その、本堂ので、のをまとった尼僧が仏像を磨いているのが見えた。
さな背だった。
痩せた肩。
丁寧に布をかすつき。
健斗のが止まった。
なぜか、そのろ姿に見覚えがあった。
尼僧がゆっくりと振り返った瞬、健斗のからペットボトルが落ちた。の入ったボトルは畳のを転がり、乾いた音をてて止まった。
化粧気のない顔。
剃り落とされた髪。
けれど、そのまなざしだけは違えようがなかった。
「……」
健斗の声は震えていた。
7、自分が倫女だと決めつけ、から追いした元妻が、尼僧となって目のにっていた。
健斗は靴を脱ぐことも忘れ、本堂へ駆けがった。の腕を乱暴につかみ、声を荒げた。
「これはどういうことだ。アメリカでいい暮らしをしているんじゃなかったのか。こんなところに隠れていたのか」
はしもじなかった。
く静かな瞳で健斗を見つめ、掌してから淡々と答えた。
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「ここには、会がお探しの方はいません。お帰りください」
「いないだと。おがじゃないか。俺のを持って逃げたくせに、こんなところで何をしているんだ」
は健斗のを静かにほどいた。
「私は妙です。という方はじません」
その声は穏やかだった。
だが、その穏やかさが、健斗のをさらに乱した。
彼はのを見た。かつてく柔らかかったは、赤切れ、荒れ、布を何度も絞った跡が残っていた。爪はく、指先はくなっている。
健斗が像していた華やかな活とは、あまりにも違っていた。
くのさな部をのぞいた健斗は、さらに言葉を失った。そこには古びた布団が1組、経典が数冊、さな棚があるだけだった。
「7、こんなところで暮らしていたのか。俺が渡したはどこへやった」
は静かに首を横に振った。
「会からいただいたものは、何もありません」
騒ぎを聞きつけた職が現れ、厳しい声で言った。
「そこの方、ここは修のです。静かになさい」
健斗は職をにらみつけた。
「修? この女が何の修ですか。の庭を壊しておいて」
職は歩も引かなかった。
「妙様は7、ここで精してこられました。これ以騒ぐなら、てっていただきます」
健斗はをもう度にらみ、何も言えないまま本堂をびした。
に乗るなり、健斗は佐藤に鳴った。
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「今すぐ7にと倫したあの男を探しせ。今どこで何をしているのか、すべて調べろ」
佐藤は驚いた顔で振り返った。
「会、もしかして奥様を……」
「奥様なんて呼ぶな。とにかく探せ」
京へ戻る、健斗ののにはの姿が焼きついてれなかった。
夜8、実のリビングでは、良子が具のリストを持って待っていた。
「健斗、エリカさんのお母様と具の話をしなきゃいけないのに、どこへっていたの」
健斗はソファに崩れるように座った。
「ただ、に当たってきただけです」
良子はリストを突きした。
「ここを見て。ダイヤモンドのネックレス、真珠のイヤリング、全部用しなきゃ。ところで、7にが持っていった宝類はどうするの」
健斗は顔をげた。
「が持っていった宝?」
「当然持っていったでしょう。あんなに宝が好きだったんだから、庫にあったものは全部持ちしたはずよ」
健斗は良子の顔を見た。
その、良子の表が瞬だけこわばった。
「本当に全部、持っていったんですか。庫を度確認してみないと」
「確認なんて必ないわ。持っていったに決まっているでしょう」
その夜、健斗は酒に酔った体で斎を探し回った。
本棚のろから、古びた計簿が1冊落ちてきた。の丁寧な字で、節約の記録がびっしりかれていた。
気代3000円節約。
で見切り野菜を購入。
費を削って、遣いを貯める。