"失敗作のグッバイ" 第3話
それでも、1ほど経った頃、私たちにとって最悪の事件が起きた。
ある夜、義実の隣に建っていた古い造宅が、配線のショートで燃えた。
はすぐに義実にも燃え移り、1階部分が半焼した。幸い義両親に怪はなかったが、修繕には数かかかるという話だった。
片付けの伝いにった、焦げた匂いがまだ残るので、姑がぽつりと言った。
「これからどうしましょう」
舅もい息を吐いた。
「この状態のにはめないな。焦げ臭いし」
2の線が、私たち夫婦に向いた。
「ねえ、部、空いていないかしら」
姑の言葉に、私は夫と目をわせた。
たしかに部は空いている。
義両親も、それを分かっていて言っているのだろう。何度もがに来ていたのだから。
けれど、私たちは義両親と緒に暮らしたくなかった。
「お願いよ。困っているの」
姑はさらに畳みかけた。
ほんの数かだけ。
そう言われると、さすがに「それも嫌です」とは言いづらかった。
本ながら、私たちは数か限定で義両親と同居することになった。
しかし、ここからが本当の獄だった。
徹が好きなおもちゃで遊んでいると、姑はすぐに顔をしかめた。
「まあ、何これ。こんなもので遊んでいたら、徹ちゃんのが悪くなっちゃうわ」
そう言って、徹のからおもちゃを奪った。
徹は驚いて、わんわん泣き始めた。
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「ちょっと、お母さん。徹からおもちゃを取りげないでください」
私が言うと、姑は私を睨んだ。
「あなたがこんなおもちゃを与えるから良くないのよ」
「普通の子ども用のおもちゃじゃないですか」
「だめよ。キャラクターのおもちゃが何を教えてくれるの。もっと育系のおもちゃにしなきゃ」
姑は勝におもちゃ箱を覗き込み、
「こんなところにもゴミがいっぱい」
と言った。
私は慌てて止めた。
「ゴミじゃありません。徹のおもちゃです」
「育玩具じゃないとがないのよ。もったいないけど捨てましょう」
「捨てません。徹が気に入っているものです」
そのは何とか守ったが、姑のが止まるはずもなかった。
パズル、ブロック、点と点をつなぐ本、アルファベットカード、子ども用サイズのそろばん。
気づけば徹の部は、幼児教のようになっていた。
舅でさえ、
「もうし子どもらしいものを買ってやれ」
と苦言を呈したほどだった。
それでも姑は聞かなかった。
「学受験は4から塾に通う子がいらしいけど、幼稚園から準備した方がいいって聞いたの」
徹はまだ2歳にもなっていなかった。
夫が呆れて言った。
「2歳にもなってない子に何を言ってるんだよ」
それでも姑は本気だった。
「ければいほどいいのよ。が柔らかいうちに、たくさん吸収させるの」
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私たちは次第に、何を言っても無駄だと悟っていった。
同居が始まってから、半が過ぎた。
義実の修繕は候などの都で引き、数かのはずだった同居は、ずるずると続いていた。
当2歳だった徹の発達は、いたって順調だった。
よく笑い、「まんま」「わんわん」「あっち」といった言葉を使いながら、懸命自分のを伝えていた。その姿がくて、夫はよく目を細めていた。
「そのうち親元をれていくのかな」
気がすぎる寂しさをにするくらい、私たちは徹の成をんでいた。
けれど姑だけは、それが気に入らなかった。
ある昼がり、姑は徹のにひらがなカードを並べた。
「これ、読んでみて」
徹は興がなさそうにカードを崩し、代わりにお気に入りのおもちゃで遊び始めた。
姑はきなため息をついた。
「ほら、奈々子さん。悠なことをしているから変なことになっているじゃない」
「変なことって、どうかしましたか?」
「この子が読めないのよ。もうひらがなくらい読めないといけない齢なのに」
「2歳で字が読める子の方が珍しいといますが」
「涼介は2歳で絵本が読めたの。ひらがな全部」
夫と息子は別のだ。
涼介ができたから徹もできるはずだと決めつけるのは、やめてほしかった。
それどころか、姑が無理に勉させようとするほど、徹は文字を見るのも嫌がるようになっていた。
絵本でさえ、自分からこうとしない。
そんなある、私はキッチンで夕の準備をしていた。