"十年の悪夢 洞窟から届いた母の遺骨" 第8話
「はあの夜でていきました。ところが会がわざわざやってきて……」林は言葉を続けられず唇を噛むだけでした。
「会が封筒を渡しながら、息子が晩留置にいたことにしてくれと頼んだんですね」佐藤の目がたくりました。
「それで記録を改ざんし、真実を売ったわけですね」
「申し訳ありません。当はこれがこんなに恐ろしいことになるとは本当にってもいませんでした」林はいシワの刻まれた顔を両で覆いました。
方、田刑事は全国の児童養護施設の記録を調べていました。
「警部、1987 初旬に入所した児童のリストです」
佐藤は何百もの名がかれたリストを素く目で追っていきました。
その、ある記録に佐藤の目が釘付けになりました。
「1987 1 5 、元女子、推定齢 10 歳、で発見」
「この子が発見された所はどこだ?」
「調子内のバスです。に特記事項として」田刑事が詳細な記録を読みげました。
「極度の精神ショックによる失語症と記憶喪失の症状あり、仮称『蝶子』という名をつけて保護」
佐藤の臓が激しく鼓し始めました。
「きっとこの子のことだ」
「3 の 1990 、京の夫婦に引き取られました。養父母の個報は伊藤哲夫夫妻です」
佐藤はメモを取っていましたが、ふとに浮かんだ考えに席から勢いよくちがりました。
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「証拠品保管へくぞ、今すぐだ」
たい空気が漂うの証拠品保管で、佐藤は田さゆりの証拠品箱を見つけしました。
「これが洞窟で骨と共に見つかった品々だ」
佐藤は古びたセーターとジーンズを慎に取りしました。
そしてそのに畳まれていたさなハンカチ。
佐藤がハンカチを広げると、の隅に縫い付けられたさな模様が現れました。
青い糸で針針丁寧に刺繍されたさな蝶でした。
「蝶だから蝶子だったのか」佐藤の声がく沈みました。
「あの子が何も話せず自分の名すらいせないから、持っていたこのハンカチを見て職員が名をつけてやったんだ。母親が最に握らせたものだったんだろうな」
佐藤はハンカチをそっと元に戻しました。
「ではその蝶子が田ミキで違いありません。ああ、その子を見つけなければならない」
、田刑事が興奮を隠せない様子でオフィスにび込んできました。
「警部、見つけました」
「どこにいる?」
「京の港区にんでいます。名は伊藤ミキと改名しています。職業は学病院の護師として働いています」
ついに 10 ぶりに女の方が判したのです。
「直ちに京へ向かう」佐藤はコートをに取りながら言いました。
「警部、おで?」
「いや、田刑事とでく。
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静かに、誰にも気づかれずにだ」
「なぜそこまで慎に?」
「の奴らも今頃血になってミキを探しているだろうからな」佐藤の表が氷のようにたくなりました。
「それなら本当に急がなければなりませんね」
「ああ、奴らより歩先にあの子を見つけ、保護するんだ」
佐藤と田刑事はその夜、誰にも告げずに京へと向かうに乗り込みました。
10 ぶりの再会が、そしてまた別の劇の始まりが目に迫っていました。
京港区の静かなカフェで、佐藤は 10 のを恐怖のできてきたの女性と向きっていました。
伊藤ミキというしい名の裏に過を隠した、田ミキでした。
「もう丈夫ですよ。これ以怖がる必はありません。私があなたを守ります」佐藤はできるだけ優しい声で話しかけました。
ミキの瞳は 10 のあの夜に閉じ込められたままのように、い恐怖で揺れていました。
「本当に警察の方なんですか?」ミキが怯えて震える声で訪ねました。
「はい。あなたのお母さん、田さゆりさんの事件を担当している佐藤始刑事です」
佐藤は自分の分証をテーブルのにそっと滑らせました。
ミキはしばらくためらっていましたが、ついに固く閉ざしていたをきました。
「あの夜、私、この目で全部見ました」
「丈夫、ゆっくり。
本当にゆっくりでいい。急ぐ必は全くありませんから」佐藤は録音のボタンを押し、ミキを促しました。