"虎姑と賢い嫁" 第7話
「なんという恥だ。蔵の鍵まで預けたというのに、材料をどこへやった。ご先祖様の膳をこのように粗末にして、がを愚弄するつもりか」
親戚たちも々に責めてました。
「嫁としての務めを忘れたか」
「供え物を横領したのではあるまいな」
すべてはお兼ばあさんの筋き通りにんでいるように見えました。
しかし、おは恐れませんでした。
ゆっくりとをげ、それから顔をげました。目は澄み、声は凛としておりました。
「お義母様、そしておの皆様、申し訳ございません。私の至らぬところで、いまだ膳をすべて満たすことができておりません。しかし、私が供え物を横領したり、準備を怠ったりしたわけではございません」
その声に、騒ぎがし静まりました。
おはお兼ばあさんをまっすぐ見つめました。
「今朝から蔵を探しましたが、棗、栗、干し柿、そして干物を見つけることができませんでした。棒が入った形跡もありません。ですから私は、のにきっと別の事があるのだと考えました」
お兼ばあさんの眉がぴくりときました。
「おそらく、ご先祖様が私たちの誠を試そうとなさり、しばし隠されたのだと信じました。そして、その貴な品々は、ので最も全で、気の良い所に保管されていることでしょう」
おは静かに歩みました。
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「お義母様、もしやきお父が最も切になさった、お義母様のお部の持ちのに、それらが入っているのではございませんか」
広の空気が凍りました。
おはさらに続けました。
「昼にご挨拶へ伺った、お義母様のお部から、ご先祖様がお好きだった干し柿の甘いりがいたしました。おそらく、お義母様が切な供え物を湿気や鼠から守るため、持ちへしまわれたまま、お忙しさのあまりお忘れになったのではないかと」
言葉は丁寧でした。けれど、その内容は鋭い刃のように姑の急所を突いていました。
親戚たちの線は、斉にお兼ばあさんへ向きました。
お兼ばあさんは顔を赤くし、言葉を詰まらせました。
「な、何を言うか。私は……」
その、で最もの叔父が咳払いをしました。
「うむ。法事のが遅れておる。嫁の言うことにも理ある。義姉さんの部を確認してみるのがよかろう」
お兼ばあさんは逃げを失いました。
断れば疑いはまり、見せれば自分の企みが見する。
広には息詰まる沈黙が流れました。
やがて、お兼ばあさんは震える声で言いました。
「婆や……私の部の持ちの段をけてみなさい。うっかり、そこに置いて忘れていたようだね」
その言葉は、事実の敗宣言でした。
婆やが奥へり、しばらくして両に赤い棗、艶やかな栗、干し柿、干物の束を抱えて戻ってきました。
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広にざわめきが起こりました。
親戚たちは面と向かってお兼ばあさんを責めこそしませんでしたが、互いに目配せをしました。
お兼ばあさんは、穴があったら入りたいで、扇をいじるばかりでした。
その、おがるい声で言いました。
「ああ、お義母様。やはり私のった通りでございました。お義母様が鼠や湿気から守るため、最も全な持ちの奥に保管してくださっていたのですね」
おは供え物を受け取り、親戚たちへ向き直りました。
「皆様、ご覧ください。お義母様はこれほど細やかでいらっしゃいます。私がもってお伺いしなかったばかりに、お騒がせいたしました。すべては私の配慮がりなかったせいです」
その言葉に、親戚たちの表が柔らぎました。
彼らは、おが姑の顔をてていることに気づきました。その遣いがあまりに健気で賢く、誰も責めることができませんでした。
お兼ばあさんは、呆然とおを見つめました。
自分を追い詰めようとした嫁が、逆に追い詰められた自分にを差し伸べてくれたのです。
その胸に込みげたものは、りではありませんでした。
恥ずかしさと、奇妙な謝でございました。
法事の膳は、ようやくいました。
赤い棗、い栗、のよい干し柿、丁寧に焼かれた干物が並ぶと、膳は見違えるほど豊かで厳かな姿になりました。
おは最にを焚き、酒を注ぎ、静かに叔父へ渡しました。