"森で消えた夫の声" 第1話
20228、熊本県で30代半の会社員だったTさんは、帰りで国見岳へ登る計画をてていた。
国見岳は標およそ1700m。熊本県と宮崎県にまたがるで、周囲にはつかずの秘境がく残っている。登にたどり着くまでの林も簡単ではなく、に慣れていないにとっては、それだけでも負担のきい所だった。
Tさんの登歴は約1。今回のには、登経験のい友2、JさんとSさんも同する予定だった。2は40代半と30代半の男性で、には何度もを運んでいるベテランだった。
発、Tさんは奥さんに登の予定を伝えた。
朝にで登付まで向かい、そこから国見岳に登る。夕方までにはし、18頃には帰宅する。その、子どもの迎えにもくつもりだった。
奥さんはその予定を聞き、特にく止めることはなかった。友2と緒なら丈夫だろうとっていた。
810、朝4頃。
Tさんは静かに目を覚ました。族はまだ眠っていた。奥さんにはもって予定を伝えていたため、起こさないように支度を済ませ、そのまま自宅をた。
はへ向かってんでいった。備が分ではない林に入ると、はしずつ細くなった。Tさんは慎にハンドルを握り、が入れる所までんだ。
やがてをめられる所に到着し、JさんとSさんを待った。
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午8頃、3は無事に流した。
「じゃあ、きますか」
誰かがそう言うと、3は荷物を背負い、登へ向かって歩き始めた。
御遊を通過し、登へ向かう。午9頃、3は登に到着した。
そこからは、しばらく急登が続いた。元を確認しながら、3はゆっくりと標をげていった。登りではJさんとSさんがTさんのペースにわせてくれたため、にきなトラブルはなかった。
予定通り、3は昼頃に頂へ到着した。
刻は1220分。
しかし、頂付にはガスがかかっていた。せっかく登ったにもかかわらず、くの景はく遮られている。
それでも、3は腰をろし、お湯を沸かして昼を取った。
事をしながら会話も弾んだ。頂の景は見えなくても、無事に登れた達成があった。
その点では、誰もこのに起こる来事を像していなかった。
昼を終えると、Tさんは自分のの遅さをし気にしていた。
登りのも、JさんとSさんは自分にわせて歩いてくれていた。でも同じように気を使わせるのは申し訳ない。そう考えたTさんは、2より先にすることを決めた。
「俺、先にゆっくりりてるよ」
Tさんがそう言うと、JさんとSさんはし配そうに顔を見わせた。
「緒にりたほうがいいんじゃないか」
「ペースはわせるから、丈夫だよ」
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2はそう言った。
しかしTさんは首を横に振った。
「丈夫。登は本だし、途で追いつくだろうから」
その言葉に、JさんとSさんもくは止めなかった。
刻は1315分。
Tさんは2に軽くを振り、ひと先に登をり始めた。
JさんとSさんはその、頂付を10分ほど散策し、それからを始した。来たを戻るだけなので、迷うことはないとっていた。
2は順調にっていった。
そろそろを歩いているTさんの姿が見えるはずだった。
しかし、いくらってもTさんは見えてこない。
「ったより速いのかな」
Jさんがそう言うと、Sさんもうなずいた。
「先に登までってるのかもしれない」
登は本だった。っていれば、いずれ必ず追いつく。2はそう考え、そのまま歩き続けた。
方、その頃のTさんは、始から約10分ほど経った所を歩いていた。
その、森の奥から物の鳴き声が聞こえた。
Tさんはを止めた。
気になって声の方へ目を向けると、そこに鹿がいた。
鹿はTさんに気づいたのか、すぐにの奥へ逃げていった。
その姿を見た瞬、Tさんはった。
写真を撮って族に見せたい。
ほんのしだけのつもりだった。
Tさんは登をれ、鹿を追いかけた。
鹿は奥へ奥へと逃げていく。Tさんも々のを抜け、斜面を越え、さらに奥へんだ。
そのうち、鹿は群れになって現れた。
Tさんはわずカメラを向け、シャッターを切った。
珍しい写真が撮れた。