"甘い部屋の72時間" 第5話
通報者は落ち着いた様子で、患者の状態について具体な説はできなかった」
、えみ子は救急隊員に直接連絡を取りました。
「患者の母です。あのの状況について、しお伺いしたいのですが」
隊員は慎に答えました。
「現に到着した、患者さんの状態は非常に刻でした」
「夫の様子はどうでしたか」
「ったよりも静でした。普通、ご族が倒れていればパニックになる方がいのですが」
「何か、おかしな点はありましたか」
隊員はし躊躇しました。
「あくまで私個の印象ですが、患者さんの状態はで起きたものとは考えにくかったです。それと、部にあった消臭剤や芳剤の数がすぎました。まるで何かを隠そうとしているように見えるほどでした」
話を切った、えみ子は泣きました。
その夜、夫と向かいって座りました。
「啓介さんは、何かっていたんだとう」
夫も静かに頷きました。
「俺もそうう」
「じゃあ、どうして。どうしてもっとく助けを呼ばなかったの」
夫は苦しそうにをきました。
「助けを呼んだ瞬に、何かがるみにるのを恐れたのかもしれない」
えみ子は拳を握りました。
「咲は、たった1で苦しんでいたのよ」
2はしばらく声もなく泣きました。
数、えみ子は警察署を訪れました。
「娘の件について、捜査をお願いしたいんです」
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警察官が尋ねました。
「どの点に疑いをお持ちですか」
「夫が娘を見殺しにした能性があります。助けが必だと分かっていながら、通報しなかったのかもしれません」
えみ子は用してきた資料を差ししました。
携帯話の記録。
レシート。
カルテ。
救急隊員の証言。
警察官は資料に目を通しました。
「受理はします。ただ、もっと確かな証拠が必です」
「どうか、きちんと調べてください」
「最善を尽くします」
警察署をると、の空はく澄み渡っていました。
えみ子は空を見げました。
「咲ちゃん、お母さん、絶対に諦めないからね」
しかし、捜査は難航しました。
啓介は貫して同じ主張を繰り返しました。
「りませんでした。本当にらなかったんです。妻がそんなにひどい状態だと分かっていれば、すぐに病院に連れてきました」
「僕だって被害者なんです。妻を失ったんですから」
警察は物証を探しましたが、決定なものは見つかりませんでした。はすでに片付けられ、も過ぎていました。
10旬、えみ子は啓介と向きいました。
「啓介さん、96から9まで、何をしていたの」
「いつも通り活していました」
「咲は苦しんでいたのに、本当に気づかなかったの」
「気づきませんでした」
「98に消臭剤を買っているじゃない。何かっていたんでしょう」
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啓介は答えませんでした。
えみ子は声を落としました。
「なぜすぐに助けを呼ばなかったの。同じで、妻がんでいくのをただ見ていたの」
啓介は顔をげました。
その目には、のがほとんどありませんでした。
「お母さん、僕も辛かったんです」
えみ子は息をのみました。
「あなたが、辛かった?」
「咲が塞ぎ込んで、にもなくなって、僕もどうしていいか分からなかったんです」
「だったら病院に連れてくべきだったでしょう」
「本が嫌がったんです」
えみ子の目から涙がこぼれ落ちました。
啓介はもう、それ以何も答えませんでした。
202211、警察は捜査を打ち切りました。
結論は、嫌疑分。
確な殺や直接な暴の証拠がない、という理由でした。
そのらせを聞いたえみ子は、警察署でそのに座り込みました。
「そんなの、ありえない」
警察官は申し訳なさそうに言いました。
「ご遺族のお気持ちはお察しします。しかし、法に証するのは難しいのです」
「娘はんだのよ。夫に見殺しにされたかもしれないのに、何もないだなんて」
えみ子は泣き崩れました。
12、えみ子はで咲の遺品を理していました。
事件の直に持ち帰った娘の私物です。さな鞄のポケットから、い記帳がてきました。
震えるでページをめくると、6から8までの記録が残されていました。
615。
「最、啓介さんがる。私が何か悪いことをしたのかな」
73。
「友達に会うのを嫌がる。