"75歳の老婆をと20キロのヒラメ" 第11話
最は、事のある親子や、齢者も来ます。みんな、ここに来れば温かいものがべられるとってくれていて……」
賢治は言葉を失った。
ヒラメ20キロ、肉90キロ、惣菜、果物。
それでもすぎるとっていた量が、100を超える子どもたちの事だと考えれば、初めてを持ち始めた。
だが、まだ疑問は残っていた。
原刑事も同じことを考えていたようだった。
「浅見さん、そのおはどこからていますか。失礼ですが、あなたが以かなり厳しい活をされていたことも、こちらは聞いています」
浅見さんは俯いた。
しばらく黙ったまま、ジャンパーのポケットにを入れた。
取りしたのは、あの写真だった。
若い男の写真。
浅見さんはそれを両で包むように持った。
「息子のおです」
さな声だった。
けれど、その言葉はそこにいた全員の胸に届いた。
「2、息子が交通事故でくなりました」
が吹き、トタン根がかすかに鳴った。
「息子の名は亮平といいます。学の教師でした。休みのには、子ども堂の伝いをしていました」
が静かに目を伏せた。
「亮平さんは、うちのちげを伝ってくれたです」
賢治は写真を見た。
笑顔の若い男。
で落ちたに瞬見えた、あの顔だった。
浅見さんは震える指で写真の端を撫でた。
「亮平はよく言っていました。
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お母さん、べるものがない子どもほど、何も言わずにするんだよって。お腹が空いている子は、泣く元気もなくなるんだって」
彼女の声がかすかに震えた。
「事故のも、亮平はこの堂に材を届けにく途でした」
誰も言葉を挟まなかった。
浅見さんは続けた。
「相の保険会社から、示談が入りました。ずっと受け取るのが怖かった。息子の命がおに変わったみたいで、見るのも嫌でした」
彼女は胸元で写真を握りしめた。
「でも、3か、さんから聞いたんです。堂に来る子どもが増えている。材がりない。いものばかりでは栄養が偏るって」
は唇を噛んでいた。
「私はいました。亮平がきていたら、きっと同じことをしただろうって」
賢治の喉が詰まった。
「だから、息子のおで、子どもたちにべさせようとったんです」
浅見さんは顔をげた。
その目には涙が溜まっていた。
「せめて、亮平が助けたかった子どもたちに、ちゃんとしたものをべさせたいんです」
賢治は何も言えなかった。
量のヒラメ。
肉。
果物。
惣菜。
すべては犯罪ではなかった。
資洗浄でもなかった。
くなった息子のいを、母親が必に繋ごうとしていたのだ。
原刑事も、しばらく黙っていた。
やがて静かに言った。
「事は分かりました。ただ、全のためにも、今は記録を残し、正式な形で支援できるようにした方がいいでしょう」
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浅見さんは慌ててをげた。
「すみません。私、難しいことが分からなくて。領収も、類も、どうすればいいのか分からなくて」
が言った。
「僕たちがもっとく伝うべきでした」
浅見さんは首を振った。
「いいんです。私が、名をさないでほしいってお願いしたんです」
「なぜですか」
原刑事が尋ねた。
浅見さんはし恥ずかしそうに目を伏せた。
「私がしていることなんて、亮平に比べたら何でもないからです。それに、られたら子どもたちが気を使うでしょう。あの子たちは、ただご飯をべに来ればいいんです」
賢治の目に、いものが込みげた。
彼は初めて、自分が何を疑っていたのかを恥じた。
けれど同に、通報したことが違いだったともえなかった。
らなければ、この老婆は倒れるまで1で続けていたに違いない。
その細い肩に、100以の事と、き息子の願いを背負って。
そののうちに、原刑事は浅見さんののを確認した。
もちろん、犯罪の捜査としてではなく、保護と全確認のためだった。
浅見さんは最初、ひどく恐縮していた。
「こんな汚いで、すみません」
彼女は何度もそう言った。
のは、から見た通り古かった。畳は擦り切れ、壁にはすきがあり、になればたいが入り込むだろう。台所には最限の調理具しかなく、本の事らしいものは、古い鍋のの残り粥だけだった。