"75歳の老婆をと20キロのヒラメ" 第7話
浅見さんは子に座り、両を膝ので握っていた。指先には絆創膏が増えている。爪のにはのような汚れが残っていた。
ただ買い物をしているだけののではなかった。
何かをしている。
何か、体に無理をしてでも続けていることがある。
賢治はそうじた。
やがて支払いの、浅見さんはまた札を数えた。
1万円札が15枚。
は震えていたが、数え違いはなかった。
「ありがとうございました」
浅見さんはくをげた。
そしてリアカーを引いて、いつものように坂の方へ向かっていった。
賢治、拓哉、健太は、をずらしてをた。
渡辺さんと林さんはを守るため残った。
3は距を取りながら、浅見さんのを追った。
老婆のリアカーは、ぎしぎしと音をててんでいく。
その音は、ただの古い輪の音なのに、賢治には何かい秘密を引きずる音のように聞こえた。
浅見さんはこのも、何度かろを振り返った。
賢治たちは柱や塀のにを隠しながら、慎についていった。
坂に入ると、浅見さんの取りはさらに遅くなった。リアカーの取っを握るが刻みに震えている。
途で1度、浅見さんはち止まり、胸にを当てて息をえた。
健太がわずにようとした。
「社、危ないですよ」
賢治は腕を掴んで止めた。
「今は見守るだけだ」
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浅見さんはしばらくして、また歩き始めた。
バラックのに着くと、浅見さんはいつものようにリアカーから発泡スチロールの箱をろした。
賢治たちはしれた所から見ていた。
業務用蔵庫の扉がく。
はやはり空だった。
までの材は、すべて消えている。
浅見さんは今買ってきた魚、肉、惣菜、果物を、順番に丁寧に詰めていった。
まるで何かの決まりがあるように、魚は、肉は、果物は段、惣菜は段。
作業は慣れていた。
何度も繰り返してきたつきだった。
「昨の分はどこへったんだ」
拓哉がさく呟いた。
賢治は答えられなかった。
浅見さんはすべてを入れ終えると、蔵庫の扉を閉め、のへ入った。
窓にはいカーテンがかかっていたが、隙からの様子がしだけ見えた。
浅見さんはさなちゃぶ台のに座った。
そして、きなノートをいた。
健太が息を呑んだ。
「あれです。昨も見ました」
浅見さんは、震えるで何かをいていた。
数字。
付。
品名。
賢治にははっきり読めなかったが、買ったものを記録しているようにも見えた。
その、浅見さんはポケットからさな写真を取りした。
若い男の写真だった。
浅見さんはそれをノートの横に置き、しばらく見つめていた。
その姿を見た瞬、賢治の胸は締め付けられた。
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犯罪に関わっているのなら、なぜあんな顔で写真を見るのか。
誰かに利用されているだけなら、なぜあんなに丁寧に記録をつけるのか。
分からなかった。
けれど、ただ怪しいだけではないことは確かだった。
「社」
健太がさく言った。
「これ、どうしますか」
賢治は答えられなかった。
その、浅見さんが急に顔をげた。
3は慌ててを伏せた。
臓が激しく鳴る。
浅見さんはしばらく窓のを見ていた。
まるで誰かの気配をじ取ったようだった。
やがて、写真を胸に押し当てるようにしてから、ゆっくりちがった。
そして、の奥へ消えた。
賢治たちはそれ以づかなかった。
帰り、誰もをかなかった。
へ戻ると、渡辺さんと林さんが待っていた。
「どうだったの」
林さんが尋ねた。
賢治は見たことを話した。
空の蔵庫。
量の材。
ノートへの記録。
息子らしき写真。
話を聞き終えると、全員が黙り込んだ。
拓哉がく言った。
「やっぱり普通じゃない。だが、犯罪かどうかは分からない」
組は腕を組み、く息を吐いた。
「ここまで来たら、警察に相談するしかないかもしれん」
賢治は顔をげた。
警察。
その言葉が現実を帯びると、胸がくなった。
浅見さんを守るためなのか。
それとも疑うためなのか。
自分でも分からなかった。
ただ、このまま毎何万円ものを受け取り続けることは、もうできない。
そうった。
その夜、賢治はを閉めたも、なかなか帰れなかった。