"消えた母の 10 年地下室" 第8話
見らぬおばさんが自分に触ろうとするのが怖かったのです。
「おばさん、誰ですか?」
「お母さんよ、ケント、お母さんだよ」
「僕にはお母さんはいません。父さんとおばあちゃんだけです」
ケントの言葉にミキはさらに涙を流しました。
息子が自分のさえらないなんて。
「ケント、お母さんはここにいるのよ、お母さんは……」
その、の方でがく音がしました。
拓也が帰ってきたようでした。
「ケント、お菓子買ってきたぞ」
拓也の声が聞こえました。
ミキは急いでケントに駆け寄り、を握りました。
「ケント、事な約束をして。誰にも言わないで、絶対に父さんにもおばあちゃんにも、おじさんにも誰にも言っちゃだめよ」
「どうして?」
「とにかく危なくなるの。ケント、父さん、おばあちゃん、みんなが危なくなるの」
ミキのまなざしは必でした。
10 拓也に脅され続けてきたからです。
もし誰かが自分のをったら、裕とケント、ふみ子まで全員殺すと拓也が言っていたのです。
「約束できる?」
ケントはまだ状況が理解できませんでしたが、おばさんの必なまなざしに頷きました。
「うん。約束する」
「ありがとう、本当にありがとう」
ミキは息子をもう度見つめた、の奥へと姿を消しました。
ケントは訳が分からないまま階段を登りました。
「ケント、どこにいるんだ?」
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「ここにいるよ、おじさん」
ケントは何事もなかったかのようにリビングに戻り、宿題を続けました。
しかしのではずっとあのおばさんのことが気になっていました。
おかしい。
「お菓子買ってきたぞ。お腹空いただろう」
「うん、ありがとう」
拓也はいつもと変わらずるい表でした。
全く怪しいところは見えませんでした。
ケントは宿題をしながらも、何度ものことをいしました。
あのおばさんは誰なのだろう?
どうして自分をお母さんだと呼んだのだろう。
そしてどうして誰にも言うなと言ったのだろう。
「おじさん、には何があるの?」
ケントはそっと尋ねました。
しかし拓也は慌てて答えました。
「あ、あそこはただの物置きだよ。いらないものしか置いてない」
「あ、そうなんだ」
ケントはそれ以は聞きませんでした。
しかしのでは疑問が渦巻いていました。
に帰ったケントはいつもと違って数がなくなっていました。
「ケント、拓也さんので何をしてたんだ?」
裕が尋ねても、ケントははっきりとした返事をしませんでした。
「宿題をして、お菓子をべたよ」
「そうか、楽しかったかい?」
「うん」
ケントは返事はしましたが、のではずっとあのおばさんのことが気になっていました。
本当に自分のお母さんなのだろうか。
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しかし全く記憶がありませんでした。
ケントはこっそり父の部に入り、引きしを探しました。
父が切にしまっていた写真を引きしの奥から見つけました。
アルバムをくと、幼い自分と綺麗な女性が緒に映っている写真がありました。
おそらくお母さんなのでしょう。
写真ののお母さんはるく笑っていて、髪も綺麗にえられていました。
しかしで見たあのおばさんとはあまりにも違いました。
のおばさんは髪が乱れ、顔も痩せて青かったのです。
同じ物だというにはあまりにも違って見えました。
ケントは首をかしげました。
本当に同じ物なのだろうか。
夜ベッドに入ってもケントは眠れませんでした。
あのおばさんのしそうなまなざしが何度もに浮かびました。
数経ってもケントはそのことを誰にも話しませんでした。
約束したからです。
しかし好奇は消えませんでした。
方、のミキは数眠れませんでした。
10 ぶりに息子に会い、こうして話すことができたのです。
とても嬉しかったのですが、同に胸が痛みました。
ケントが 1 歳のに別れたので、自分のことを覚えていないのは当然ですが、それでも寂しい気持ちは拭えませんでした。
私の息子がこんなにきくなって……
ミキはで涙を流しました。
拓也がいない隙に声を殺して泣きました。
息子の声を聞き、顔もくで見ることができましたが、それだけでは 10 の恋しさは埋まりませんでした。