"中卒の兄、結婚式で覚醒す" 第23話
敬はし困ったように眉をげ、昔と変わらない優しい笑顔を向けた。
やめろよ、今はおのれ台だぞ。男がそんな泣き顔をしてどうする。顔をげろ。
俺はおが派な医者になってくれただけで、本当に分だったんだ。
おが俺の誇りであるように、俺もしはおに誇ってもらえるような兄貴になりたかっただけさ。
敬が穏やかな声でそう言うと、優馬はようやく顔をげ、涙でぐしゃぐしゃになった顔で何度も頷いた。
ありがとう、兄ちゃん、本当にありがとう。
続いて隣にいたが歩にた。彼女も優馬と同じようにくをげた。
敬様、先ほどの父の無様な振るい、数々のひどい言葉。娘として本当に申し訳ありませんでした。
の謝罪に、敬は慌ててを振った。
さん、あなたが謝る必はどこにもありませんよ。それにさっきのあなた、すごくかっこよかったです。義父様にはっきり自分の見を言えるなんて、本当に真のい女性だ。
敬の温かい褒め言葉に、の目から再び涙が溢れした。
私、優馬さんからずっと聞いていたんです。自分には世界で番尊敬しているがいる、自分のを犠牲にしてでも族を守り抜いてくれた最のヒーローがいるんだって。
今、その理由が痛いほど分かりました。
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敬様は優馬さんの言っていた通り、それ以に素らしく潔な方です。
私、こんなに尊敬できる方と族になれて、から幸せにいます。
買いかぶりすぎですよ、さん。
敬は照れくさそうにを掻いた。
俺はただの器用な男です。学歴もないし、綺麗な言葉も言えない。でも優馬をう気持ちだけは誰にも負けないつもりです。
どうか弟をよろしくお願いします。
敬がくをげると、は「はい」と力く頷いた。
そのだった。静まり返った会の隅から、控えめな拍の音が聞こえてきた。
それは親族で、ずっと黙って見守っていた叔父だった。
叔父は顔を真っ赤にし、ボロボロと涙を流しながらくく両を叩いていた。
敬、よくやった、本当によくやったぞ。
叔父は目を覆いながら歩み寄ると、敬の背をバンバンと力く叩いた。
おってやつはで抱え込みやがって、自分が会社の社だなんて、なんで内の俺たちにも黙ってたんだ。おかげでずっとハラハラしっぱなしだったじゃねえか。
すいません、変に気を使わせたくなくて。
バカ野郎、派になりやがって、本当に派になりやがって。
叔父の温かい拍はやがての親族たちへと伝わり、さらに会全体へと広がっていった。
先ほどまで敬を見していた医療関係者たちも、今は目のの本物の族の絆に打たれ、無言で拍を送っていた。
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それは義父の権力に対する媚びの拍ではなく、の潔な男のき様に対する、からの賞賛と敬の拍だった。
敬は響き渡る拍の、ふと井の美しいシャンデリアを見げた。
にまみれて働いた々、母の病、弟の学費を稼ぐため眠を削り、トラックのハンドルを握り続けた記憶。
そのどれも決して楽なのりではなかった。
だが弟がこうして派な姿で、自分を誇りだと言ってくれるその言だけで、これまでの全ての苦労が報われた気がした。
なんだか事になっちまったな。
会を包み込む万来の拍の、敬は照れくさそうに笑い、優馬の肩をポンと叩いた。
卒って笑われた男が、実は誰より族を支えた社だったなんて、ドラマみたいだな。
優馬が涙混じりに笑うと、敬はく返した。
俺は社であるに、おの兄貴だ。それは何経っても変わらないさ。
完全なる逆転クライマックス。
義父という絶対な悪役は自滅し、虚栄まみれのエリートたちは己のささを恥じた。
そして誰よりのでも族のためにきてきた男が、今最の敬と賞賛のにっている。
たい対で幕をけた披宴は、こうして温かな涙と拍に包まれながら、つのきなクライマックスへと向かっていた。
国税局の捜査員たちに両脇を抱えられ、無惨な叫び声を残して義父が連されてから数分、嵐が過ぎった披宴会は、先ほどまでの刺々しい空気が完全に消えり、どこかすがすがしい議な静寂に包まれていた。