"他人と言われた娘" 第5話
幸介は私の言葉のをすぐに理解した。
姑への仕送り。
結婚の条件として続けてきた、毎の送のことだ。
結婚、幸介は居のローンを組むことになった。負担が増えたため、私が代わりに姑への仕送りを続けていた。もちろん、姑にもそのことは伝えたはずだった。
けれど姑は、何もそれを美さんからだと勘違いしていたらしい。
幸介はしばらく黙っていた。
そして、く息を吐いた。
「分かった。もうやめよう」
「いいの?」
「当たりだ。僕の妻と娘を扱いするに、これ以おを送る必なんてない」
その言葉を聞いて、私はようやく涙をこぼした。
マリはまだ私のをく握っていた。
私はそのさなを握り返しながら、ので決めた。
もう、姑の顔をうかがうは終わりにする。
それから1か。
がのチャイムが鳴った。
モニターを見ると、そこには姑がっていた。珍しいことだった。私は瞬迷ったが、ちょうどそのは美さん親子が遊びに来ていたので、玄関をけた。
姑は私やマリには目もくれず、リビングにがり込んだ。
「こっちに美さんがいるって裕介に聞いたんだけど……ああ、いたいた」
姑は美さんを見つけると、まっすぐそのに座った。
「ねえ、美さん。あなた今、何か忘れてない?」
美さんは議そうに首を傾げた。
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「お母さん、何のことでしょうか」
「ほら、あれよ、あれ。から戻ってきてバタバタしていたものね。忘れちゃうのも仕方ないわ」
姑は1で納得したように話し続けた。
「今の仕送りはいつ頃いただけるのかしら。ちょっと入り用があってね」
「仕送り?」
美さんは本気で分からないという顔をした。
「お母さん、私、本当に何のことだか分からないのですが」
姑は作り笑いを浮かべたまま、を乗りした。
「もう、とぼけちゃって。毎振り込んでくれていたでしょう」
「私、そんなこと1度もしたことありませんよ」
その言葉に、姑のきが止まった。
「え……1度も?」
姑は慌ててバッグから通帳を取りした。
「だって、ここ数、毎振り込まれているのよ。ほら」
美さんが通帳を受け取り、記帳欄を見た。
そして、驚いた顔で言った。
「お母さん、これ、私じゃないです。名義は森川美優ってなっていますよ」
姑の顔がゆっくりこちらを向いた。
「あの……美優さん。今まで仕送りをしていたのって……あなた?」
結婚して初めて、姑が私の名を呼んだ気がした。
私は静かに答えた。
「そうですよ。お母さんが結婚の挨拶のにおっしゃったじゃないですか。仕送りを続けることが結婚を許す条件だって。だから、ずっと続けていました」
姑はをけたまま固まった。
「でも……以は幸介の名義だったはず……」
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「結婚、幸介さんは居のローンを組むことになりました。だから私が代わりに送ると、ちゃんとお話ししました」
姑は何も言えなかった。
それでもすぐに、いつもの見すような目に戻った。
「でも、あなたは学もていないし、を売る仕事か勤務だったんじゃないの?」
私はく息を吸った。
説するのは、もう何度目だろう。
「お母さん、私は勤務ではありません」
幸介が横から静かに言った。
「母さん、そろそろその学歴差別をやめたらどうだ。美優は今、注目されているブライダルデザイナーなんだよ」
姑はぽかんとした。
「デザイナー?」
「そう。オーダーメイドでウェディングドレスを仕てるデザイナーだ。業界でも名がられている」
幸介は本棚から1冊のブライダル雑誌を持ってきた。
「ここを見て。掲載されているドレスのデザイナー名に、美優の名があるだろう」
姑は震えるで雑誌を見た。
そこには、私が掛けたドレスが何着も掲載されていた。、私のデザインは評判になり、特集を組まれることも増えていた。
美さんも微笑んだ。
「お母さん、美優さんの仕事をらなかったんですか?ブライダルデザイナーとしては名ですよ。私、結婚式で着ていたドレスも本当に素敵だといました」
姑は顔を真っ赤にした。
「なんで黙っていたのよ!」
私は静かに首を横に振った。
「何度も話そうとしました。でも聞こうとしなかったのはお母さんです。それに、結婚式で実物を見てもらおうとしたのに、来てくれませんでしたよね」