"十三年目の灯火" 第5話
もう1つは、部座席にいたもう1が誰なのか。
その2つを解かない限り、13の真実にはたどり着けない。
潰れた体を専が調べると、やがてなことが分かった。
「これは、ただの転落事故ではありません」
専は体の部と側面の損傷を指でなぞりながら説した。
「い力がから加わった跡があります。自分から何かにぶつかったのとは向きが違う。ろから追突され、そのまま横へ押しされた。そういう壊れ方です」
仁田は息を呑んだ。
久保はい声で呟いた。
「やはり、事故やない。事件や」
調べはさらにんだ。
潰れたのトランクの奥から、といにさらされてぼろぼろになった鞄が見つかった。
を慎に調べると、すっかり変した幣の残骸のようなものがてきた。そのに挟まるようにして、1枚の類の切れ端も残っていた。
そこには、読みづらくなりながらも、ある会社の名と社印の跡がかすかに残っていた。
「この判をたどってみましょう」
仁田はそのさながかりにいついた。
会社名をもとに調べをね、過の資料と照らしわせていくうちに、部座席のもう1の元が浮かびがった。
坂徹。
当38歳。
町のさな会社で経理の仕事をしていた男だった。
ところが、その名が分かった、仁田はわず声をげた。
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「久保さん、この坂という男です。このも、あのに失踪しています」
「なんやと」
久保は仁田の差しした類を覗き込んだ。
そこには確かにかれていた。
坂徹もまた、田が消えたのと同じ週に、方として届けがされていた。
ではなぜ、13もの、この2つの失踪が結びつかなかったのか。
理由は、たった1つのさな隙にあった。
坂の方届は、神戸ではなく隣の阪でされていた。
田のタクシー失踪は神戸の事件。
坂の失踪は阪の事件。
管轄が違っていた。
それぞれので、それぞれに捜されていた。けれど、この2つが同じ夜の同じ1台ののでつながっていたなど、誰もいもしなかった。
久保は古い帳をいた。
「ライトを消した黒っぽい」
あのは、田のタクシーを見張っていたのではない。
坂を追っていたのではないか。
ばらばらだった点が、久保ののでゆっくりと1本の線につながり始めた。
2は坂の周辺を洗い始めた。
坂は体何者だったのか。
なぜ追われていたのか。
調べをめるうちに、ある1つの名が何度も浮かびがってきた。
田。
表向きはまともな融業者を名乗っていた男だった。
だが裏では、法な利息を取りてる業を営み、々から容赦なくを絞り取っていた。
坂は、その田の表にせない汚れた帳簿を扱わされていた経理の男だった。
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さらに、2を凍りつかせる事実も分かった。
あの廃の主だった黒田。
すでにくなっていたその男が、、田と浅からぬ関係にあったというのだ。
田の汚れた。
それをりすぎた経理の坂。
坂を追っていたライトを消した。
田とつながりのある黒田の廃。
すべての糸が、1つの暗い所へたぐり寄せられていった。
けれど、そこで2はきな壁にぶつかった。
肝の田は、もうこの世にいなかった。
黒田もすでにくなっていた。
事件のにいたとわれる男たちは、を閉ざしたままこの世をっていたのだ。
久保はく息を吐いた。
「になし、か」
せっかく線がつながりかけたのに、その先を語れる者が誰もいない。
いは、真実を語るべきさえ容赦なく連れってしまう。
諦めかけた、そのだった。
に当の関係者を洗っていた仁田が、1の男の名にたどり着いた。
。
かつて田ので働き、となっていていた男だった。
そして、そのがまだきていることが分かった。
今はすっかり老い、病を抱え、町れの施設で静かに余を送っているという。
「久保さん」
仁田は久保の顔を見た。
「最の1です。あの夜のことをっているかもしれません」
久保はしばらく目を閉じた。
そして静かにちがった。
「こか。あのに、あの夜何があったんか、聞かせてもらおうやないか」