"柿の木の下、三十年の帰郷" 第1話
18 歳になるあの、私はこっそりと自隊に入隊した。それからちょうど 20 、幹部となって故郷に帰った。その母が元の男に絡まれているのを目にしたのだ。
18 歳になる、私は母の印鑑をこっそり持ちした。保護者の同を偽造して町の募集窓へ駆け込んだのだ。
あのの朝、はまだ暗かった。母は台所でガチャガチャと音をてながら朝の支度をしていた。私は布団ので寝返りを打ちながらどうしても落ち着かなかった。
父はくにくなり、には私と母の 2 だけだった。畑はさくしの米とじゃがいもを育てているだけだ。母は体がくの収穫の期になると私はいつも学を休んで伝った。
3 の先は何度も私を呼びし、こう言った。その成績ならもう 1 頑張れば学にける。先になって定した活を送りなさい。
でも私のには響かなかった。当の私ののにはただ 1 つのことしかなかった。このから抜けすことだ。
は野のい奥にあった。をるは 1 本ののだけでれれば埃りがい、がればだらけになった。私は 18 この奥からたことがなかった。
1 番くへったのは母と緒に卵を売りに町へったくらいだ。町には 1 本の通りがあり、郵便局やが並んでいた。
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その通りにつだけでそこが別世界の都会のようにえた。
でもの世界にはがあり、いビルがあり、煙突から煙を吐くがあるという。私ののはいつもその煙突の景でいっぱいだった。
募集所はから 20km ほどれた町にあった。おじさんの自転を借りてひたすらペダルをこいだ。登り坂ではふくらはぎがパンパンになり、着いた頃にはすっかり夜がけていた。
受付にはい列ができていて、私と同じくらいのの若者たちが並んでいた。みんな両親に付き添われ、を握られながら配そうに声をかけられている。私だけが列の最尾に 1 ポツンとっていた。
来ていたのは母が仕ててくれた青い着だ。袖はすり切れて糸がほつれていた。私は無識にそのほつれを指でいじっていた。
私の番になり、担当者が類と偽造した同をめくって私をちらりと見た。臓が喉からびしそうなくらい激しく鼓していたが、平気な顔をよそおった。
「親の許はちゃんと取ったな」と聞かれ、私は「はい」と答えた。彼はもう 1 度私を見て何も言わずに登録を済ませた。
体検査と庭調査の、私はきたがしなかった。制を着た担当者が「はどこだ」と聞き、まで見にくと言いしたからだ。
「母は町へ買い物にていて留守です」
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と私は嘘をついた。本当は母はにいた。朝私がをるからそっと鍵をかけてきたのだ。
窓際から私を呼ぶ母の声が聞こえたが、私は振り返らずに自転を全力でこいで逃げた。あんなことをしたのはで初めてだった。
自転をこぎながら私はポロポロと泣いた。が顔に吹きつけ、涙が乾いてはまた流れた。
その入隊の通が届いた。発の、町では太鼓が鳴り、入隊員たちは胸に赤いをつけた。族たちはそばで涙を拭っている。
私は混みので母の姿を探したが見つからなかった。代わりにおじさんが来て私のに 1000 円を握らせた。
「母さんがおに渡してくれってさ。しっかり頑張ってこいよ」
ののおはじんわりとかかった。「おじさん、母さんは?」と聞くと「体の調子が悪くてで寝てるよ」と言った。
本当はがひどく傷ついているのだと悟っていた。17 育ててくれたのに、私は言の相談もなくをたのだから。
がきした、私は窓に張り付いてを見た。おじさんはホームでずっとを振っていた。私は目を凝らしてそのに誰かいないか探した。でも誰もいなかった。
線沿いのが次々とろへ流れ、はく昔に見えなくなっていた。
駐屯での最初の夜、いベッドに横たわっても全く眠れなかった。
布団の匂いを嗅みながら同の隊員のいびきを聞いているとのは母のことでいっぱいになった。