"壁の中の美大生" 第4話
「これからは佐藤美紀の過を掘りげる必がある。々がらない、もう1つの顔があったはずだ」
その夜、伊藤は佐藤美紀の遺品箱をけた。
古びた記帳、スケッチ、学の資料、古い写真。
埃をかぶったを1枚ずつめくっていく。
やがて記帳の最のページで、伊藤のが止まった。
そこには、さな文字でかれたメモがあった。
駅 3B
そして、黄く変したテープで、さな鍵が貼り付けられていた。
伊藤はすぐに田を呼んだ。
「駅に、まだ古いコインロッカーは残っているか」
田は顔をげた。
「はい。旧型のロッカーが残っています」
「すぐにくぞ」
事件は、わぬ所へつながり始めていた。
駅の片隅に、古いコインロッカーが並んでいた。
しい観客用のロッカーとは違い、その角だけは代に取り残されたように暗かった。
配の管理は、伊藤が見せた錆びた鍵を見るなり目を丸くした。
「3Bですか。あれはもう12以になりますよ。保管料がずっと滞納されていて、厄介者だったんですが」
伊藤は鍵を差し込んだ。
属がこすれる気な音とともに、扉がいた。
から現れたのは、古びて擦り切れた黒い鞄だった。
伊藤は袋をはめ、慎に鞄をいた。
には、分い帳が1冊と、の預通帳が入っていた。
広告
通帳の名義は佐藤美紀ではなかった。
美。
見らぬ名だった。
田は首をかしげた。
「美……誰の名でしょうか」
伊藤は通帳をめくった。
その瞬、2の目がきくかれた。
通帳には、毎数百万円ものが振り込まれた記録が並んでいた。
田の声が震えた。
「刑事さん、最の取引を見てください。19901110、500万円引きし。失踪のです」
伊藤は帳をいた。
そこには付、額、そしてな記号がびっしりとかれていた。
「22歳の美が、どこでこんなをにしていたんだ」
その頃、田は佐藤美紀の学代の同級たちに話を聞いていた。
最初、誰もが同じように言った。
美紀は絵を描くことしからない、貧しい学だった。
だが田が粘りく聞き続けると、しずつ別の話が漏れ始めた。
ある同級は、周囲を気にしながらをいた。
「実は、美紀は々、私たちとは違う集まりにっていました」
「違う集まりとは?」
「画廊のたちや、お持ちの美術品収集が集まるパーティーです。なぜ美紀がそんな所にくのか、みんな議にっていました」
別の同級は、さらにな証言をした。
「度、美紀がの背丈ほどある絵を運んでいるのを見ました。そうだったので伝おうとしたら、ものすごい剣幕で『絶対に触らないで』と言われました」
広告
田は警察署に戻ると、興奮した声で報告した。
「刑事さん、どうやら佐藤美紀は単なる美ではありませんでした。価な美術品を密かに運搬する役割を担っていた能性があります」
伊藤は帳を見つめた。
「この記号は、美術品の取引台帳かもしれないな」
事件の様相が変わった。
これは単なる恋同士のもつれではなかった。
。
美術品。
偽名座。
そして、元の力者たちが入りするパーティー。
佐藤美紀は、らないうちに危険な世界へを踏み入れていたのかもしれない。
伊藤は田賢治を再び呼びした。
取調の机に、美名義の通帳を置く。
「この通帳を見たことがありますか」
田は激しく首を横に振った。
「いいえ。初めて見ます。美って誰ですか」
「恋がどこでをにしていたのか、本当にらなかったんですね」
田は苛ったように声をげた。
「本当にらなかったんです。だから喧嘩になったんです。彼女が秘密ばかり作るから、の所を話してくれないから」
田が尋ねた。
「美紀さんが、あなた以に特別頼りにしていたはいませんでしたか」
田はしばらく考えたあと、苦々しい顔で言った。
「カフェのマスター、鈴勝さんです。美紀はあのを本当の父親のように慕っていました。僕には話さないことも、あのには話していたようです」
伊藤と田の線が鋭く交わった。
鈴勝。
その名が、再び事件のに浮かびがった。