"妻のポーチから見つかった結婚指輪" 第20話
「何を言っているんだ?答えわせだなんて、俺はただ……」健は顔面を蒼にしながら必にごまかそうとした。
「初めまして、田健様。私は佐藤誠さんの代理を務めております。弁護士の吉田と申します。」吉田弁護士がちがり、枚の名刺をテーブルの端に滑らせた。「あなたの顧問弁護士である弁護士が提してきた、誠さんのモラハラ音声データ。あれは専関の鑑定により、別の会話を切り張りした偽造証拠であることが確に証されました。」
吉田弁護士が鑑定を掲げると、健の額からどっと汗が流れた。
「そして奥様が隠し持っていた千百万円が、あなたのダミー会社であるキーコンサルティングへ送されようとしていた事実も、の調査で完全に裏が取れています。」
「違う!それは何かの違いだ。俺は弓さんの相談に乗っていただけで、のことなんて何も……」健は無様にも弓に責任を押し付けようとした。「そうだ、弓さんが勝にやったことだ。俺は巻き込まれただけだ。」
その言葉を聞いた瞬、うずくまっていた弓が顔をげ、信じられないという目で健を睨んだ。
「健さん……あなた、私を裏切るの?あのおで緒にしいタワーマンションを買おうって言ったじゃない!」
「黙れ!おが勝に誠のを盗んだんだろうが!」
広告
見苦しい責任の押し付けいが始まった。私が信じていた妻と親友の本性が、あまりに浅ましくみっともないものだったことに、私はい虚無を覚えた。
「おの見苦しい争いはにしていただけますでしょうか。」吉田弁護士が穏やかな声でを制した。「田様、あなたは弓様が勝に実したと主張されるのでしたら、こちらの証拠についてご説いただけますか?」
吉田弁護士は鞄から型スピーカーを取りし、自のスマートフォンと接続した。
「誠さんが依頼した探偵が、週都内級ホテルのラウンジで録音した、おの会話です。し音量をげますね。」
再ボタンが押され、スピーカーからラウンジのざわつく環境音と共に、健と弓の々しい肉声が流れした。
「ふふ、誠のヤツ、あのダミー通帳をまだ本物だと信じ込んでるわ。本当に扱いやすいバカな男。」弓の甘く、毒を含んだ声。
「ああ、あいつは昔からが良すぎるんだよ。俺の言うことなら何でも信じる。おが引きした千万があれば都のタワーマンションのに分だな。」健の、私を完全に見した傲な声。
「でも義母さんの介護費用って名目で貯めてたおだから、しだけ悪い気もするけど、気にするな。あんな認症のババアにを使ったって無駄だ。
広告
俺たちのこれからののために効活用してやるのが正解さ。モラハラの証拠はがうまく捏造する。おはただ、誠に怯えたかわいそうな妻を演じていればいい。あいつを丸裸に剥がして、あのボロマンションから追いしてやろうぜ。」
「ええ、あなたと結婚できるなら私、どんな演技でもするわ。」
録音が終わった。控はまるで凍りついたように静まり返った。ただ、私の母だけは状況を完全に理解できていないながらも、自分に向けられた悪をじ取ったのか、ポロポロと涙を流して震えていた。私は母の肩を抱き寄せ、細くさな背を優しくさすった。胸の奥に、決して消えることのない激しいりの炎が燃えがっていた。
「これが『巻き込まれた』の会話か。」私のく、刺すような声に健はびくりと全を震わせた。「おは僕の老・母の介護資を盗むだけでなく、僕の母を無駄な老だと侮辱し、僕の全てを笑い物にしながら踏み躙ったんだ。」
「ま、まだ違うんだ。これは酒の席の冗談で……」健はずさりしながら必に弁解しようとしたが、その言葉は誰のにも届かなかった。
「ふざけるな!」突然叔父がテーブルを激しく叩き、勢いよくちがった。「おたちにはのがあるのか。誠がどれほどおたちを信じてきたか。
義母さんがどれほど誠を切に育ててきたか。それをよくもこんな汚い言葉で……」