"浴室の鍵" 第4話
その浩司が、いくら内とはいえ、自分の財布からわざわざ男性介護師への報酬をすだろうか。
「あの、達也くんへのお礼はどうやって、私が母のからお支払いした方がいいのかしら。」 恐る恐る尋ねると、浩司は骨に顔をしかめた。 「おはのことなんか気にしなくていい。俺が達也と直接話をつけて、適当な遣いを渡すことになっている。おはただ俺のの広さに謝して、黙って伝ってもらえばいいんだよ。」
浩司はそう言いながら、横につ達也と瞬だけありげな線を交わした。 その線には、私には決して踏み込めない男同士の奇妙な共犯関係のようなものが漂っていた。 だがそのの私は、々の疲労で考能力が鈍っており、その気なサインをく追求する気力を持ちわせていなかった。
そのの午、義母からも話がかかってきた。 「もしもし、ゆみ子さん。達也がそっちにったでしょう。あの子、本当に昔から優しい子でね、ゆみ子さんがかわいそうだから助けてあげたいって自分から言いしたのよ。」 話越しの義母の声は、どこか私を見すような響きを含んでいた。
「それにしてもゆみ子さんのお母さんも変ね。自分のももあるのに、結局はうちの浩司のお世話になっているんだから。
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ゆみ子さん、親の介護でお兄ちゃんに迷惑をかけている自覚、ちゃんと持ってる?」
「はい。申し訳なくっています。」 私がを殺して謝ると、義母は満げにで笑った。 「ならいいのよ。達也にはよくよく言ってあるから、ゆみ子さんのお母さんがく楽になるように、しっかりお世話してあげなさいってね。」
今えば、その「楽になる」という言葉の裏には、とてつもなく残酷なが隠されていたのだ。 しかしそのの私は、いつもの嫌だと受け流すしかなかった。
違はありつつも、達也の仕事ぶりはなくとも最初は完璧に見えた。 リビングのソファでげに座っている母の隣にしゃがみ、達也は優しい声で話しかけた。 「おばあちゃん、僕のこと覚えてる?達也だよ。今は僕が緒におやつをべようとってきたんだ。」
母は最初は戸惑っていたものの、達也がゆっくりとを取り、子供に話しかけるように優しく接すると、次第にしたように微笑むようになった。 達也の介助で母が嬉しそうにおやつをべる姿を見て、私は張り詰めていた糸がしだけ緩むのをじた。 私が考えすぎなだけかもしれない。浩司さんもしは私や母のことを配してくれていたのかもしれない。 そう自分に言い聞かせ、私は久しぶりに夕の支度をしながら、しだけ肩の力を抜くことができた。
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しかし、そのささやかならぎは、入浴のになって再び奇妙な違へと変わることになる。
「ゆみ子おばさん、お呂の準備ができました。番変な入浴介助は僕が全部やりますから、おばさんは休んでいてください。」 達也が浴ので私にそう告げた。
「でもさっきからずっと伝ってもらっているし、せめて私が背を洗うくらいは……」 私がそう言って脱所に入ろうとすると、達也はすっと私のにちふさがり、遮るように腕を広げた。
「いえ、おばさんは来ない方がいいです。」 達也の声は、先ほどまでの爽やかなトーンとはし違い、妙にくかった。
「ええ?ほら、おばあちゃんも娘に排泄の世話や裸を見られるのは恥ずかしかったりけなかったりするとうんです。だからここはプロである僕に任せてください。おばさんがいると逆におばあちゃんが緊張して落ち着かなくなりますから。」
見するともっともらしい理由だった。 確かに母は私がを脱がせようとすると、「自分でできる」とを張り抵抗することが増えていた。 の、しかもプロの男性介護師の方が案すんなり受け入れてくれるという話は聞いたことがある。 だがいざを脱ぐ段になると、母はひどく怯えた様子を見せた。
「いや、お呂はいや……」 母は首を横に振り、自分のカーディガンを両でく握りしめた。
「おばあちゃん、丈夫だよ。さっぱりして気持ちよくなろうね。」 達也は力いで母のを解こうとする。