"春雨に消えた妻" 第2話
付はクラス会の2かだった。
健は、順子が港ニュータウンに引っ越してきて以来、彼女に継続に連絡を取っていた。最初はクラス会の連絡を理由に。次には否を気遣うふりをして。そしてには、特に理由もなく話をかけてきた。
順子はそのことを夫に話していなかった。
無用な配をかけたくなかったのか。それとも、自分でもどう扱えばいいのか分からなかったのか。真は分からない。
418の夜、クラス会で1枚の写真が撮られた。
に幸が捜査関へ提したその写真ので、順子のすぐ隣に座り、満面の笑みを浮かべていた男がいた。
健だった。
午7、クラス会は始まった。2階の宴会席には、皿の触れう音と、グラスをわせる音、そして20ぶりに再会した同級たちの笑い声が響いていた。
順子は、その夜、久しぶりにるい表をしていたという。
同席していた渡辺という同級はにこう話した。
「普段は数がない方なのに、そのはよく笑っていました。久しぶりにリラックスしているように見えました」
それでも、折ふとした瞬に、順子が隣の健を避けるように目を伏せる面があったと記憶する者もいた。
宴は夜10頃におきとなった。
同級たちはので名残惜しそうに挨拶を交わし、それぞれ帰についた。
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順子ものへたところまでは、複数の同級が目撃していた。
けれど、そのの取りが途切れた。
誰も、順子がどこへ向かったのかをはっきり見ていなかった。
その夜、順子はに帰らなかった。
幸は夜11を過ぎても、妻の帰りを待っていた。
リビングの計の針がむ音だけが、妙にきく聞こえた。テーブルのには、帰宅した妻にそうとっていた湯呑みが置かれていた。
最初は、タクシーがつかまらないのだろうとった。久しぶりの再会だから、話が弾んで遅くなっているのかもしれないとも考えた。
けれど、夜0を過ぎると、が胸の奥を締めつけ始めた。
幸は話帳をき、案内はがきにかれていた同級の連絡先へ話をかけた。
「順子は、そちらにいませんか」
返ってくる答えは、どれも同じだった。
「のでは別れました」
「その先は分かりません」
「緒には帰っていません」
幸は健にも話をかけた。
3回目のコールで、健は話にた。声は落ち着いていた。
「私もく席をちましたよ。順子さんがどこへったかは分かりません」
それだけだった。
幸は受話器を握ったまま、しばらくけなかった。説できない違が胸に残ったが、その点で何かを問い詰める根拠はなかった。
当、駅周辺のには防犯カメラがほとんどなかった。
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華料理のくに1台だけ設置されていたが、画質は極めて悪かった。
、捜査官が確認した映像には、夜1012分頃、ので1の女性が誰かとい会話を交わす面が、ぼんやりと映っていた。
しかし、その相が誰なのかは識別できなかった。
翌朝、幸は警察に通報した。
だが警察の反応は鈍かった。
「晩で通報するにはすぎます」
そう言われた幸は、順子の通帳や類がそのまま残っていることを訴えた。義母の薬も、かけるにきちんと用されていた。するような準備など、何ひとつなかった。
それでも返ってくる言葉は同じだった。
「もうし待ってみましょう」
当、40代の既婚女性の失踪は、しばしばとして扱われた。庭、浮気、逃避。警察が真っ先にい浮かべるのは、そうした言葉だった。
事件記録には、わずかにこう記された。
「の能性。追加捜査の必なし」
そのに、順子の痕跡は急速に消えていった。
クラス会の翌である419の午、健は自の型トラックを洗に預けた。
当、洗で働いていた田という男性は、何も経ったにこう証言している。
「あののことは覚えています。トラックの内のフロアマットを丸ごと品に交換してくれと言われたんです。そんな依頼は珍しかったので、記憶に残っていました」
同じの夕方、健のの裏にある空きから煙がちった。