"百円玉の逆転" 第5話
「じじいとババアが持っているを、うまく使ってやるってだけなんだ。何も悪いことじゃない」
の肩の筋肉が凍りついた。
支が子ごとずさる。
「お……」
がゆきさんを睨みつけた。
「お、俺を録っていたのか。この裏切り者が」
ゆきさんはスマートフォンを止めなかった。
録音の声が続く。
「おは齢者にわざとひどいことを言って、たくあしらえ。そこに俺が正義のヒーローとして、おを叱りつけにく」
さらに、あまりにも馬鹿げた発言が流れた。
「どんなひどい言葉を言うかは、スカッと系の画を見て勉しろ。老は、ひどいことをした員が叱りつけられる面が好きだからな」
者への敬の欠片もない。
支の目が見かれた。
は子のでのように固まっていた。
録音ので、輩らしい声が問いかけていた。
「でも、スカッと系画だと、ひどいことをした員に、客が数千億円の座解約を突きつけていました。もし、そうなったらどうするんですか」
の笑い声がなった。
「員なら、預額と資産額の違いくらい分かるだろ。本に数千億の預者なんかいない。うちのの最預者の熊川業でも、数億がいいところだ。でも考えてみろ。窓に来る寄りが、そんなを持っているわけがないだろう」
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ゆきさんがスマートフォンを止めた。
応接から音が消えた。
さっきまで「の員の声では何の証拠にもならない」と言い切っていた男が、今度は自分自の声を聞いて黙り込んでいた。
やがてが歩踏みした。テーブルにをつき、ゆきさんに顔をづける。
「今すぐ消せ。さもないとクビだぞ。分かっているのか。おはからこのにいられなくなるんだぞ」
あの留守番メッセージと同じ声だった。
ベアリバーで、ゆきさんの顔から血の気を奪った声だった。
ゆきさんの唇がくなった。
瞬、言葉が詰まる。
けれど彼女は、ポケットのに入れていた奏のに触れたのだろう。く息を吸い、はっきり言った。
「どうぞ。クビにしてください」
応接の空気が止まった。
「私はもう、あなたに怯えません。あなたの指示で泣かせたあの子に、怯えたままの私を見せたくないんです」
のが半きのまま止まった。
話にもられず、留守番メッセージに怯えていたが、今、自分の声で言葉を取り戻していた。
はき直ったように笑った。
「分かりました。いいでしょう。しかし、私の言ったことは犯罪ではありません。あくまでビジネスをうまくめるためのテクニックにすぎない。警察に持ってっても、何も起きませんよ」
「警察ではありません」
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私は静かに言った。
「この音声も含め、報告は弁護士が仕げてございます。録音、複数名の実名証言、マッチポンプのの詳細。この件に関する報告を、本、融庁の窓に提いたします」
がで笑った。
「仕事のできない員と、になったおばあさんの類に、忙しい融庁がわざわざ対応するでしょうかね」
「確かに、それは分かりませんね」
私はうなずいた。
「ひとまず私としては、こちらのに設している座を、本付で解約させていただきたいのですけれど」
支の表がわずかに緩んだ。
カフェの主の個座など、せいぜい数百万円だろう。した痛ではない。
きっとそうったのだ。
も、目に余裕を残したまま頷いた。
「かしこまりました。すぐに続きいたしますので、終わり次第、どうぞお引き取りください」
その言葉を聞いて、私はカフェの穏やかな主の目を閉じた。
そして、夫の会社を引き継いだ会としての目をいた。
「私の個座とは別に、き夫から引き継ぎました会社の法座が、本の本にございましてね。常業務は専務に任せておりましたし、カフェと個座は旧姓のままで、熊川業に紐づけておりませんでしたから、当では私のことに気づかなかったのでしょう」
私はにかかった髪をえた。
イヤリングが応接のかりを弾いた。
「株式会社熊川業の座移管続きを始する旨の面を、に顧問弁護士から本の法営業部へ送付させていただきます」