"飲んではいけないお茶" 第10話
彼は声をげて泣きした。
それは恐怖やしみの涙ではなかった。
8、胸の奥に閉じ込めてきた全てのから解放された、堵の涙だった。
逮捕から1週が過ぎた。
佐子と匠の活は、嵐が過ぎったのように静かで穏やかなものになっていた。匠はまれて初めて、母親の脅迫という呪縛から解放され、しずつを表にすようになった。
よく笑い、よく話し、には子どもらしいわがままを言って佐子を困らせることもあった。
そのすべてが、佐子にとってはしく、かけがえのない宝だった。
そんなある、斎藤弁護士から話が入った。
「佐子さん。ゆかりが、あなたと面会したいと求しています」
その言葉を聞いた瞬、佐子の血が逆流するような覚に襲われた。
「あの女と顔をわせる理由などありません」
「お気持ちは分かります。ただ、彼女は総郎さんの件も含め、すべての犯を自供しました。そので、最にあなたと話したいと言っています。あなたご自のに区切りをつけるためにも、1度会っておくべきだと私はいます」
斎藤の言葉には説得力があった。
このままでは、ゆかりは佐子ので永に得体のれない化け物のままだ。その正体を、この目で見届ける必があるのかもしれない。
京拘置所の面会は、無質でたい空気に満ちていた。
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いアクリル板の向こうに、ゆかりが現れた。囚にを包み、化粧気のない顔は、いつも完璧に美しく装っていたゆかりとは別のようだった。
だが、その瞳だけは変わっていなかった。
反省や悔のなど微もなく、底なしの憎悪と軽蔑の炎だけが燃えていた。
「来たのね。相変わらず、品ぶったけつの穴のさい顔をしてるわね、お義母さん」
その態度に、佐子は逆に静になった。
「話したいことがあると聞きました。にお願いします。あなたと話をする趣はありません」
ゆかりの元が醜く歪んだ。
「教えてあげるわ。あなたがずっとりたかったことでしょうから。そうよ。15、あなたのする総郎を殺したのは私」
あまりにもあっさりと、そして楽しそうに、ゆかりは告した。
「邪魔だったのよ。あのも、あなたも。あのもも全部、あなたたちのもの。健はいつまで経ってもあなたたちの操り形。それがならなかったの。だから、まずあの邪魔なジジイを消した。次はあなたの番だったのにね。しぶとかったわ」
佐子は静かに尋ねた。
「匠を虐待したことは?」
その名を聞いた瞬、ゆかりの顔から表が消えた。
「匠? あの子は私の最の失敗作よ。私の完璧な計画を台無しにした裏切り者。まれてこなければよかったのに」
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その言葉で、佐子のに残っていた最の迷いは完全に消えた。
この女は悪魔ではない。
というものが欠落した、ただの空っぽな怪物だ。
佐子はちがった。
「あなたの話はそれだけですか」
「最に教えてあげる。健はね、あなたをむわよ。妻を警察に売って、息子を奪い、庭を壊した酷い母親だってね」
佐子は背でその呪いを受け止めた。
そして振り返らずに、静かに答えた。
「ええ、そうかもしれません。でも、それで結構です。息子にまれようと、私は構いません。私は、あなたのから匠の未来を守り抜いたのですから」
それ以、聞くことはなかった。
数、佐子は斎藤の事務所で健と向きった。
健は病院を退院し、警察の取り調べを受けた。ゆかりの計画には関与していなかったことが証され、起訴はされなかった。だが、その顔は10歳も老け込んだようにやつれていた。
応接に入るなり、健は佐子のに崩れ落ち、座した。
「母さん、本当にすまなかった。俺は何もらなかったんだ。ゆかりが父さんのことまで……信じてくれ」
佐子は、かつてした息子を静かに見ろした。
「おちなさい、健さん」
わざと儀に呼んだ。
「あなたが殺者でないことは分かっています。でも、あなたはそれ以に罪い。ただの愚か者です」
健の顔が歪んだ。
「あなたは、自分の父親が殺されたことに15気づかなかった。