"飲んではいけないお茶" 第9話
ただ、匠君への監督責任を問われることは免れないでしょう」
佐子は黙ってうなずいた。
昼過ぎ、児童相談所の職員が訪れた。裁判所から発された緊急保護決定通と、佐子を匠の臨監護者と指定する類を渡した。
「これで法に、匠君は柏さんの保護に置かれます。ゆかりさんと健さんには、今切、匠君への接触は認められません」
隣にいた匠が、したように佐子のの裾をぎゅっと握った。
午3、ゆかりのスマートフォンから健のスマートフォンへメッセージが届いたと、捜査員が報告した。警察はすでに、2の通信を監に置いていた。
「幹線、無事に田原を通過したわ。4半にはに着けるとう。お義母さん、お茶をんでくれてるかしらね」
その文面を聞いた瞬、佐子は吐き気を覚えた。
旅を楽しみながら、自分のを待ちにしているのだ。
「ターゲットは予定通り午430分頃に帰宅します」
刑事のい声が内に響いた。
「各員、配置についてください」
佐子と匠は、2階の部で待するよう指示された。窓は閉められ、カーテンも引かれている。部のは息が詰まるほど静かだった。
佐子は匠のたくなったを握り、その背をさすり続けた。
「丈夫よ、匠ちゃん。もうすぐ全部終わるからね」
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4を過ぎた。
415分を過ぎた。
やがて、ののに1台のタクシーが止まる気配がした。
ドアがく音。
スーツケースを引く音。
そして聞き慣れた健とゆかりの声。
「ああ、疲れたな。やっぱりが番だ」
「そうね。でも楽しい旅だったわ。さあ、入りましょう」
玄関の鍵がく音がした。
その瞬、刑事の鋭い声が響いた。
「踏み込め!」
複数の音と男たちの声、そしてゆかりの甲い鳴がにこだました。
「何よ、あなたたち! 警察? 何の冗談ですの?」
玄関から響くゆかりの声はヒステリックで、どこか芝居がかっていた。彼女はまだ、状況を理解していない。あるいは、いつものように被害者を演じようとしているのだ。
「柏ゆかりさん、柏健さんですね」
刑事の静で威圧な声が響いた。
「あなた方に、殺未遂、児童虐待、詐欺、および印私文偽造の容疑で逮捕状がています」
「殺未遂? 児童虐待ですって? 何かの違いですわ。私たちは障害を持つ息子を懸命に育ててきた、ごく普通の夫婦ですのよ!」
ゆかりの絶叫が続いた。
その隣で、健の呆然とした声が聞こえた。
「刑事さん、体何のことですか。さっぱり分からないのですが……」
「黙りなさい」
刑事のが響いた。
「全て分かっている。あなたが柏佐子さんをジギタリスという毒を使って殺害しようとしたこと。
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そして、実の息子である匠君を8にわたって虐待し、度の自閉症であると偽ってきたこともな」
その瞬、ゆかりの声がぴたりと止んだ。
ジギタリス。
自分と坂本しからないはずの毒物の名がたことで、彼女は悟ったのだろう。
計画が完全に見したのだと。
数秒の沈黙。
その沈黙を破ったのは、健のか細い声だった。
「ジギタリス……? 匠が虐待……? ゆかり、おい、どういうことなんだ。説してくれ」
返事はなかった。
やがて、がちゃん、という属音が響いた。錠がかけられた音だった。
「いや、して! 私は何もしていない! あのババアが仕組んだ罠よ!」
ゆかりの声には、もはや余裕はなかった。
その、どさりといものが倒れる音がした。健が、あまりの衝撃に耐えきれず、そので気を失ったのだった。
やがて、刑事が2階へがってきた。
「終わりましたよ、柏さん。ゆかりは逮捕しました。健さんは病院に搬送されましたが、命に別状はありません」
佐子は全の力が抜け、そのに座り込んだ。
「それから、もう1つご報告があります。共犯者の坂本涼介も、先ほどクリニックで柄を確保しました」
坂本も捕まった。
これで、あの悪魔たちの計画は完全についえたのだ。
刑事は、佐子の腕のにいる匠へ優しく語りかけた。
「匠君、君は本当に勇敢だった。
君のおかげで、おばあちゃんは助かった。悪いたちを捕まえることもできた。本当にありがとう」
その言葉を聞いた瞬、匠の緊張の糸がぷつりと切れた。