"飲んではいけないお茶" 第6話
いつもタブレットを使ってる。寝のベッドの横にあるよ」
「パスワードは分かる?」
「うん。ママの誕を逆にした数字。1204」
なんと愚かで、そして幸運なことか。
佐子は再び、あのの匂いが満ちる寝へ向かった。サイドテーブルのには、匠の言った通りいタブレットが置かれていた。
ロック画面に1204と打ち込むと、軽い音とともに画面がいた。
メールをくと、広告や通に混じって、ひときわ目つ名があった。
坂本涼介。
最のメールは3。件名は「最終確認」。
佐子は息を殺し、そのメールをいた。
「ゆかりさん。いよいよですね。例のものは指示通り、ハーブティーに5mlでお願いします。2のスープのは量がなかったせいで未遂に終わりましたから、今回は確実に。2泊3の旅は完璧なアリバイになります。帰ってきた頃には全て片付いているでしょう。吉報を待っています」
全の血が逆流するような覚だった。
あの筋梗塞が、やはり彼らの仕業だったことが、そこにはっきりかれていた。
さらに、ゆかりからの返信も見つかった。
「先、ご配なく。今度こそ、あのしぶといババアを始末しますから。倍の量を入れてやりますわ。絶対にき残らせない。これでようやく私たちの輝かしい未来が始まりますね」
佐子はりに震えながら、さらに過のメールを遡った。
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そこには、匠の偽装障害についてのやり取りも残っていた。
佐子がくなった、匠はショックで症状が悪化したことにし、1ほど経ったら「母親の献な治療によって奇跡に回復した」という筋きにする。世はゆかりを、障害のある息子を救った聖母として称賛するだろう。
そんな文章が、悪びれもなく並んでいた。
ゆかりの返信には、こうあった。
「素らしいわ、先。あの子もようやく役にってくれるというわけね。葬式でしみに暮れる母親を演じるのも、今から楽しみですわ」
佐子はタブレットを持つを落としそうになった。
自分の息子を具としか見ていない。
義母の葬式を台の見せのように語る。
この女は、のを持っていない。
さらにの取引細のデータも見つかった。健が匠の治療費として振り込んだは、ゆかり名義の別座やの投資座へ巧妙に送されていた。
佐子は、寝のデスクで見つけたUSBメモリに、メールと取引記録をすべてコピーした。閲覧履歴を消し、タブレットを元の所に戻す。
これでデジタルの証拠もに入った。
だが、佐子のはれなかった。
むしろ、さらに暗くい疑に覆われていた。
ゆかりと坂本のは、あまりにも周到で、慣れていた。
これが初めてのはずがない。
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考は、15へ引き戻されていく。
夫、総郎がこの世をった朝。
総郎は63歳だった。呉の経営からを引き、隠居活を送っていた。毎朝の散歩と庭いじりを欠かさない健康な男だった。血圧の気配すらなかった。
そんな夫が、ある朝、佐子の隣でたくなっていた。
診断は眠に起きた急性筋梗塞。
あまりに突然のだった。
あの夜、にはゆかりがいた。健は会社の期張にており、ゆかりは「お義父様とお義母様だけでは寂しいでしょうから」と言って、泊まり込みで事の支度を引き受けていた。
そして、総郎がくなる夜。
ゆかりは夕に、やわらかく言った。
「お義父様、最しお疲れのようでしたから、私が特別にブレンドしたハーブティーをどうぞ。眠効果があるんですよ」
そう言って総郎の湯呑みに注がれた、透き通った琥珀の液体。
それは今、自分がもうとしたハーブティーと、あまりにもよく似ていた。
「まさか……」
佐子の声は、自分のものではないように聞こえた。
夫までも、あの女に殺されたのか。
佐子はの押し入れへ向かった。奥には古いアルバムが眠っている。総郎の葬式の写真を震えるでめくる。
ある1枚の写真に、佐子の目が釘付けになった。
式の隅を偶然写した写真だった。
くのがうつむき涙をぬぐっている、ゆかりだけがしれた所で携帯話を操作していた。