"樹海の白いマスク" 第2話
2緒に暮らしているルームメイトの子美幸が、玄関まで見送りに来た。
「本当に1で丈夫?」
美幸は配そうに聞いた。
は靴ひもを結び直しながら笑った。
「丈夫。慣れてるから。19の夜には戻るよ」
「着いたら連絡して。波が入るところでいいから」
「分かった。約束する」
そう言って、はに乗り込んだ。
京から約2。昼頃、の報センターに到着した。はレンジャーに登届を提した。青ヶ原周辺に入る登者には、ルート、数、帰還予定を記入することが求められていた。
応対したのは克というのレンジャーだった。
は類を確認し、が1でくとると顔を曇らせた。
「青ヶ原は迷いやすいです。の性の岩が磁気を乱す所もあり、コンパスが正確に働かないことがあります。必ず標識のあるをれないでください」
「はい。装備はあります」
はリュックのを説した。
はそれでもそうだった。
「特に女性1はおすすめしません。森では奇妙なことが起きることもあります。できれば誰かと緒にった方がいい」
は静かに頷いた。
「配してくださってありがとうございます。でも、経験はあります。危険への対処も分かっています」
はしばらく彼女を見つめ、最には許証を発した。
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「帰ったら必ず報告してください」
「はい」
は午2半、森へ入った。
気温は約28℃。湿度はく、の空気が肌にまとわりついた。
は々のへ続いていた。杉、楓、ブナ。腰のさまで伸びた。元には固まった溶岩と落ち葉がなり、の根がで絡みっていた。
青ヶ原は、驚くほど静かだった。
鳥の声もなく、の音さえい。
聞こえるのは、自分の音と呼吸だけ。
はその静けさを気だといながらも、同にどこか癒やされているとじていた。
その静けさが、数には別のを持つことになるとは、まだらなかった。
は良いペースで歩いた。
速約3.5km。途で何度かを止め、保温ボトルに入れてきたたいお茶をみ、朝作ったおにぎりをべた。反対方向から来る数の登者ともすれ違った。互いに軽くお辞儀をし、気やの状態についてい言葉を交わした。
午6、は最初の指定キャンプに到着した。
森のでは比較がまばらなさな空だった。テントを張る所がいくつかあり、製の簡易トイレと焚きがあった。焚きは森林災防止のため厳しく管理されていた。
キャンプにのはなかった。
はしだけになったが、すぐに自分に言い聞かせた。
平だし、奥のルートだからがないだけ。
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彼女はきな杉ののくに所を決め、テントを張った。寝袋を広げ、携帯用コンロでインスタントラーメンと乾燥野菜を温めた。湯気のつ簡単な夕をべながら、々のから見える夕焼けを眺めた。
やがて、記を取りした。
は登のたびに記をく習慣があった。そのの記録には、ルートの説、森の美しさ、の疲れ、そして奇妙な静けさについてかれていた。
最には、こう記されていた。
「何かぶりかで落ち着いた気分。青ヶ原の静けさは奇妙だけれど、癒やされる。は展望台に着きたい。夜けの富士を見たい」
午10頃、は寝袋に入り、眠りについた。
夜の森には、昼とは違う音があった。葉が揺れる音、枝が折れるさな音、くで鳴く鳥の声。の湿った空気の、は最初、それらを自然の音として受け止めた。
午3頃だった。
何かの音で目が覚めた。
テントので、何かがいている。
い音。枝を踏む音。
の臓が急に速くなった。
最初に浮かんだのは、熊だった。本のにはツキノワグマがいる。普通はを避けるが、驚かせれば危険だ。
は寝袋のでを固くした。息を殺し、を澄ませた。
音はづいてきた。
そして、テントの周りをゆっくり回り始めた。
そのきは、熊にしては慎すぎた。
物ならもっと荒く、においを嗅ぎ、物音をてるはずだった。
これは違う。
は寝袋の横に置いていた懐灯へを伸ばした。