"地下室に消えた母" 第8話
「健、ごめんね。あなたを置いていったわけじゃないの。ずっと、ずっと会いたかった」
健はしばらく美紀を見つめていた。
そしてしずつ、ベッドにづいた。
「……お母さん」
その言を聞いた瞬、美紀は声をげて泣いた。
失われた10は戻らない。
けれど、族は再び同じ所につことができた。
ただ、この町で暮らし続けることはできなかった。々の線もあり、何より拓也のがすぐ隣にある。そこに残る記憶は、あまりにもすぎた。
裕は学に転勤を願いた。
幸い、沖縄への転勤が決まった。
「これからしく始めよう。沖縄で、やり直すんだ」
裕がそう言うと、美紀は静かに頷いた。健も父と母の顔を見比べ、さく頷いた。
沖縄での暮らしは、簡単ではなかった。
美紀は10に及ぶ監禁活でも体もく傷ついていた。夜になると悪にうなされることもあった。カウンセリングを受けながら、しずつ常を取り戻していった。
健もまた、母親との距に戸惑った。すぐに甘えられるわけではない。失われたはきかった。
それでも、美紀は焦らなかった。
朝、卓に噌汁を置く。
健の学の話にを傾ける。
裕の帰りを待つ。
そんなさな々を、ひとつずつ積みねていった。
ある夕方、族3は沖縄の岸を歩いていた。空はに染まり、波が静かに砂浜へ寄せていた。
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健が父のを握りながら尋ねた。
「父さん、僕たち、これから本当に幸せになれるのかな」
裕は息子のを撫でた。
「もちろんだ。僕たちはもう度、緒になれたんだから」
美紀もそっと健のを握った。
「健、これからしずつでいいの。お母さんも、あなたと緒に歩きたい」
健はしだけ迷った、美紀のを握り返した。
そのは細く、温かかった。
裕は2のを見つめながら、胸の奥に静かな涙が込みげるのをじた。
10というは、あまりにもかった。
けれど、完全には戻らないものがあっても、これから作れるはある。
の向こうに沈む夕が、3を柔らかく包んでいた。
あの、バスターミナルの混みに消えた美紀は、ようやく族のもとへ帰ってきた。
失われたの痛みは消えない。
けれど、もう誰も1ではなかった。
沖縄の青いのそばで、田のしいが静かに始まった。