"地下室に消えた母" 第3話
翌朝、裕は勤務先の学へ話をかけた。
「先、申し訳ありません。妻が方になりまして、しばらく休暇をいただきたいのですが」
話の向こうで、は驚き、すぐに事を聞いた。裕は普段から真面目な教師としてられていた。はく同し、数の休暇を認めてくれた。
「学のことは配しなくていい。奥さんを探してください」
そのから、本格な捜索が始まった。
裕は警察署へき、改めて正式な方届を提した。今度は担当の刑事が話を聞いてくれた。
「最に奥さんを見たのは、19938の午2頃ですね」
「はい。バスターミナルからに羊羹を取りに戻ると言ったきりです」
刑事は丁寧にメモを取った。
「最、夫婦喧嘩をされたとか、奥さんに変わった様子はありませんでしたか」
「ありません。私たちは本当に仲が良かったんです」
「奥さんにの男性がいた能性は」
「そんなはずありません」
裕はわずちがった。
「美紀は絶対にそんなじゃありません」
刑事はで裕を制した。
「失礼しました。続き、確認しなければならないことです」
警察は美紀の取りを追い始めた。バスターミナルからまでのをたどり、所の々に聞き込みをし、周辺のにも確認した。
しかし、がかりは何もなかった。
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数、裕は伊豆にいる母・文子に話をしなければならなかった。
「母さん、美紀が……」
そこまで言ったところで、喉が詰まった。
「どうしたんだい。何かあったのかい」
裕は泣き声まじりに状況を説した。話の向こうで、文子の息を呑む音が聞こえた。
「まあ、なんてこと……」
文子はすぐに京へ向かった。関節が痛み、歩くのも楽ではなかったが、孫を放っておくことはできなかった。
翌、きな呂敷包みを抱えて文子がに着いた、裕のやつれた顔を見て涙を流した。母を求めて泣く健を抱きげると、文子の胸も痛んだ。
「うちの健。お母さんはきっと帰ってくるからね。おばあちゃんがいるから丈夫だよ」
けれど、文子自にも確信はなかった。
拓也はその頃も、よくを訪ねてきた。
「変でしょう。何か伝えることがあったら、いつでも言ってください」
裕はから謝した。
「拓也さんには本当に助けてもらっています。ビラ配りも伝ってくれましたし、私が警察署へくは健の面倒も見てくれて」
文子もをげた。
「本当に優しい青だね。1で暮らしているというのに」
は無に流れた。
1か、2か、半。
美紀の方はまったく分からなかった。
裕はビラを作った。そこには美紀の写真と、失踪当の装、、連絡先がかれていた。
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「方者を探しています。田美紀、34歳、160cm」
裕は学の授業が終わると、駅、商、病院、を回った。には「阪で見た」「福岡で見た」という報を信じ、全国各へ向かった。けれど、そのほとんどは違いか、懸賞目当ての偽報だった。
文子は平は京で健の面倒を見て、週末になると伊豆へ帰り、夫の太郎の世話をした。関節の痛む体にはきつい活だったが、文子は度も音を吐かなかった。
拓也も変わらず助けをした。
「文子さんが伊豆へ帰るなら、僕が健くんを見ますよ」
健は議と拓也になついていた。拓也がいると泣き止むこともかった。
文子は拓也におかずを作って渡した。
「1暮らしだと、ろくにべていないでしょう。持っていきなさい」
「ありがとうございます。本当に助かります」
拓也はその料理を嬉しそうに受け取った。田の々は、彼を親切な隣として信じていた。
しかし、美紀は帰ってこなかった。
1が過ぎ、2が過ぎた。
警察の捜査も徐々に消極になった。しいがかりがなければ、これ以員を割くのは難しいと言われた。
「これ以、しい報がなければ捜査は事実打ち切りになります」
担当刑事の言葉に、裕は何も言えなかった。
妻の葬式をげることもできない。
きているのか、んでいるのかも分からない。
その曖昧な苦しみだけが、く裕のに残った。
やがて々は、美紀のことをしずつにしなくなった。