"居候の更地返し" 第2話
1きりのに帰るたびに胸が締めつけられていたからだ。結婚したばかりの里も、その頃は優しかった。
「お義母さん、これからよろしくお願いします」
里は台所で裕子の隣にち、ぎこちなく包丁を握った。裕子が噌汁の汁の取り方を教えると、里は素直に頷いていた。
最初の数は、本当に族として支えっていた。
裕子は朝5に起き、裕と里の弁当を作った。洗濯物を干し、ゴミをまとめ、それから病院へ勤した。夜勤けで体がふらついていても、帰宅すれば夕の準備をした。
それでも苦ではなかった。
息子夫婦と緒に卓を囲めることが、夫を失った裕子にとっては支えだったからだ。
「お母さんの煮物、本当に美しいです」
里がそう言ってくれたもあった。
裕子は嬉しくて、翌週も同じ煮物を作った。裕も「懐かしいだな」と言ってべてくれた。
けれど、いつからだったのだろう。
里の言葉に、しずつ棘が混じるようになった。
「お母さん、台所を使ったはもっと綺麗にしてください」
「洗濯物の畳み方、ちょっと雑じゃないですか」
「掃除の音、朝からうるさいんですけど」
最初は、若いの覚なのだとった。事のやり方にも、それぞれの好みがある。裕子はそう考えて、できるだけ里にわせようとした。
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しかし、里の言はにに増えていった。
裕に相談しても、息子は困ったように笑うだけだった。
「母さん、里も気を使ってるんだよ。あんまり気にしないで」
裕子は頷いた。
自分がすれば、の空気は乱れない。、病院でも庭でもそうやってやってきた。
だが、1かの来事だけは忘れられなかった。
里の友がに遊びに来ただった。裕子がキッチンでお茶を淹れていると、リビングから友の声が聞こえた。
「あら、お伝いさん?」
その瞬、裕子は急須を持つを止めた。
里は否定しなかった。
それどころか、笑いながら言った。
「そんなようなものよ。便利でしょう」
リビングから笑い声が広がった。
裕はそのにいた。けれど、何も言わなかった。
裕子は急須をそっと置いた。いお茶の湯気が顔にかかったが、議とさはじなかった。
31、護師として患者に寄り添い、命と向きってきた。
その自分が、今では息子ので、ただの便利なとして扱われている。
そして今朝、とうとう言われた。
「居候は掃除してろ」
裕子はリビングの計を見げた。
針の音だけが、静かなのに響いていた。
活費の求が始まったのは、3のことだった。
その、裕子は夜勤けで帰宅し、シャワーを浴びてから遅い朝を取ろうとしていた。
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卓には、里が用したらしい類が置かれていた。
里は向かいの子に座り、妙に改まった顔をしていた。
「お母さん、来から活費として15万円入れてもらえますか」
裕子は箸を持つを止めた。
「活費?」
「はい。緒にんでいるんですから、それくらい当然ですよね」
裕子は戸惑いながら言った。
「でも、事は全部私がやっているし、材も私が買うことがいでしょう」
里はわずかに眉をげた。
「事くらい当然でしょう。緒にんでるんですから。それにお母さん、と護師の料があるんですよね。15万円くらい余裕ですよね」
その、裕もリビングに入ってきた。
「母さん、俺たちだってのローンとか、里の実への仕送りとか変なんだ。協力してよ」
のローン。
里の実への仕送り。
裕子はその言葉を聞いて、黙り込んだ。
自分の活費というより、2の都を補うためのおではないか。そうったが、にはせなかった。
結局、裕子は毎15万円を渡すようになった。
それでも事はすべて裕子の役目だった。朝、弁当、夕、洗濯、掃除、買い物。里は仕事から帰るとソファに座り、スマートフォンを眺めながら指示だけをした。
「お母さん、今の掃除、角に埃が残ってましたよ」
「洗濯物、もっとく取り込んでください」
「買い物、また余計なもの買ってきたでしょう」
裕子はそのたびに「ごめんなさい」と言った。
謝ることが癖になっていた。
けれど、半ほど、裕子ので何かがきく揺らいだ来事があった。