"母を逃がした電話" 第8話
名義変更のこと、成見のこと、このがいくらするか計算していたこと。全部」
私はカーディガンの内側から、メモのコピーを取りしました。
「全部ここにいてあります。付も、も、誰が何を言ったかも」
をテーブルに広げると、美の顔から血の気が引きました。
は震える声で言いました。
「そんなのたらめよ。あなた、がおかしいのよ」
田先がをきました。
「認症については、正規の医療関で検査を受け、所見なしとの診断がています。方、黒田医師の診断については、虚偽診断作成の疑いで調査がんでいます」
は黙りました。
田先は幸に向き直りました。
「祝井幸さん。あなたに対しては、すでに警察に被害届提の準備がっています。正引きし、類の偽造、成見制度を悪用した財産取得の企てについて、詳しくお話を伺うことになります」
幸はようやく顔をげました。
その目は、すべてを諦めたの目でした。
「分かりました」
かすれた声でした。
「全部、認めます」
美が叫びました。
「お父さん、何言ってるの!」
幸は首を振りました。
「もうどうにもならん。逃げはない」
私の刑事がにました。
「祝井幸さん、署までご同いただけますか」
幸は抵抗しませんでした。
玄関の扉が閉まった、は泣き崩れました。
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「らなかったの。私は何もらなかったの」
私は静かに言いました。
「さん、101の夜、あなたは幸さんに言いましたね。『あのの権利、くに入れないとまずいわよ。借が膨らんでいるんだから』と」
の泣き声は、ぴたりと止まりました。
「それもいてあります」
もう、誰も言い逃れはできませんでした。
最に残ったのは美でした。
優が美のにちました。
「美」
美は顔をげました。
「あなた、お願い。私はあなたのためにやったのよ。私たちの将来のために」
優の声はく、たくなりました。
「母さんを閉じ込めて、飯も満にわせず、認症に仕てげて、を抜き取って。それが俺たちの将来のためか」
美は答えられませんでした。
「婚届は田先を通じて送る」
優はそれだけ言いました。
美はそのに崩れ落ち、初めて声をげて泣きました。
けれど、私はもう振り返りませんでした。
それから1かのに、すべてがきました。
祝井幸は詐欺罪と私文偽造などの容疑で起訴されました。裁判では、の防犯カメラ映像と引きし伝票の跡鑑定が決定な証拠となりました。
成見制度を悪用し、財産を奪おうとした為も厳しく追及されました。
判決は懲役26か、執猶予なしの実刑。
裁判官はこう述べました。
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「被告は齢者の信頼と善につけ込み、計画に財産取得を企てた。そのは巧妙かつ悪質であり、被害者が期にわたり精神苦痛を受けた事実はい」
も共犯として宅起訴され、懲役16か、執猶予3の判決を受けました。
黒田医師は虚偽診断作成で罪判決を受け、医業止処分となりました。クリニックは事実、閉院に追い込まれました。
美と優の婚も成しました。
裁判所は美に対し、法為に基づく慰謝料と、正に引きした銭の返還を命じました。けれど美の実に返済能力はほとんどありませんでした。
それでも、私はもうおだけに執着していませんでした。
奪われかけたものはお以にきかった。
けれど私は、自分のを取り戻したのです。
12。
世田のに静けさが戻りました。
美たちが使っていた部は、業者を入れてきれいにしました。壁を張り替え、畳をしくし、残された私物はすべて処分しました。
3の占拠の痕跡を、1つ残らず消すためでした。
私は自分の部に戻りました。
押し入れから、正雄の遺をしました。美たちが来てからは隅に追いやられていた遺を、リビングの番いい所に飾り直しました。
い菊と淡い桃のカーネーションを供えます。
「お父さん、ただいま」
写真のの正雄は、いつもの器用な表で写っていました。
笑顔が苦なでした。