"崖下で眠っていた三年" 第3話
警察の説は静だった。
「状況から見て、自分たちのでてった能性がいです」
たかしは取調の子からちがり、机にをついた。
「妻と友が浮気して逃げたっていうのに、それを届けた俺を疑って、それで最は逃避だって言うんですか」
刑事は彼をなだめた。たかしのりは自然なものに見えた。取り乱し、傷つき、裏切られた夫。そこに犯らしさは見えなかった。
稽古も事聴取を受けた。彼女はほとんどの、泣き続けていた。夫がいつてったのか、本当に分からないと繰り返した。声は細く、何度も言葉に詰まった。
警察は形式、2のアリバイやも確認した。だが、決定な矛盾は見つからなかった。むしろ彼らは、世界で最も惨めな被害者のように見えた。
やがて捜査の点は、ユミとケンジの取りへ移った。
全国の両照会システムに、ケンジ所のシルバーのトヨタ・マークIIのナンバーが登録された。カードの利用履歴も調べられた。座のきも追われた。
しかし、何もなかった。
防犯カメラにも映らない。速の記録にも残らない。カードも使われない。話もない。2はまるで、現を持って図に姿を消したようだった。
警察は、ますます逃避説をめていった。
やがて担当刑事からの連絡もなくなった。
広告
たかしが話をかけても、返ってくる答えはいつも似ていた。
「こちらも調べていますが、しい報はありません」「成の失踪ですから、本たちがてこない限り難しいです」「凶悪事件もありますので、ずっと員を割くわけにはいきません」
それは事実の捜査打ち切りだった。
季節はからへ変わった。ペンションでの豪の記憶は、世からしずつれていった。だが、たかしと稽古の活には消えないが残った。
所を歩けば線をじた。スーパーで買い物をしていると、会話が自然に止まることもあった。
同されているのか、笑われているのか、たかしには分からなかった。だが、その線の奥にはいつも同じ言葉があるようにじた。
妻に逃げられた男。
稽古も同じだった。彼女はを避けるようになった。に会うたび、夫に捨てられた女として見られている気がした。
そんな2は、次第に互いを支えうようになった。たかしは稽古のの修理を伝い、稽古はたかしの事を気にかけるようになった。
周囲はその変化を見て、また噂した。
「残された者同士、再婚するんじゃないか」
だが2は、はっきりと線を越えようとはしなかった。お互いが必なになっていることは分かっていた。それでも、まだ終わっていない何かが2を縛っていた。
広告
妻と夫は本当に逃げたのか。
それとも、どこかできているのか。
その答えはないまま、2が過ぎ、3目に入った。
19951014、午2頃。
元の菜取りのベテランである田さんは、普段ほとんどが入らない険しいを歩いていた。そののはがなく、の面は乾いていた。々の葉は黄くづきはじめ、元には枯れ葉がく積もっていた。
田さんが向かったのは、3に失踪事件が起きたペンションから約4キロれた国沿いの旧榛名のだった。
そこは傾斜が70度くある険しい斜面で、登客はもちろん、元の猟師でさえ好んでは入らない所だった。だが田さんのような熟練者にとっては、のが入っていない菜を見つけられる貴な所でもあった。
彼は腰にロープを巻き、の幹をつかみながら慎に斜面をりていった。元の枯れ葉がかさかさと鳴り、が底へ転がり落ちる音がした。
崖の腹までりただった。
田さんの線が、藪の奥で自然にるものを捉えた。最初は法投棄された蔵庫か、古い鉄くずだとった。だが、づくにつれ、その形はらかにだった。
蔦が体に絡みつき、と落ち葉に覆われている。シルバーだったはずの塗装は赤黒く錆び、森にみ込まれかけていた。
「こんなところに、……?」
田さんは嫌な予を覚えながら、鎌で蔦を払いのけた。の部は岩にぶつかったようにひしゃげていた。