"海底の防水バッグ" 第3話
「直ちに、1988当、あのフェリーに乗務していた乗務員名簿を確保しろ。1も漏らさず居所を特定するんだ」
「承しました!」と鈴刑事が激しくキーボードを叩き、名簿の作成に取り掛かる。
田刑事は窓のの広がる暗を見つめながら、ポケットからタバコを取りしてをつけた。22のい、いの底に眠っていた真実が、ほんのしずつ、しかし確実にその姿を現し始めていた。
翌、田刑事と鈴刑事は捜査の机に1988512のフェリーの運記録を広げていた。は埃をかぶった古い類の束をめくりながら、22のあの夜の内の様子をので再現しようと努めていた。
「当の運記録を見ると、佐藤エミさんは午7に鹿児島を航したフェリーに乗し、勤務を始していますね」
鈴刑事が指で褪せた航誌の記録をなぞりながら言いました。
「最に目撃されたのは、夜11頃、甲板となっています」 「それで、当の捜査結果の詳細はどうなっている?」
田刑事が尋ねると、鈴刑事は別のファイルをめくって答えた。
「単なる甲板からの転落、あるいはを観しての自殺と結論づけています。通報からわずか2ヶで、内定捜査はすべて終となっています」 「ふん、あまりに急いで幕引きしたのが見え見えだな」
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田刑事は元に用した当の乗務員名簿に目を落とした。そこに、科警研の帳から見つかった2つの名がはっきりと残っていた。
「『田()』『子(客乗務員)』。やはりこの2から会ってみる必がありそうだな。子は佐藤エミさんと同じ客乗務員だったわけだ」
鈴刑事がパソコンの画面で現の所を迅速に確認し、報告した。
「田は現、薩摩のさな漁で釣りのを営んでおり、子は鹿児島内のマンションにんでいます」 「まずは、当だった男から会いにこう」
数、鹿児島かられた薩摩のさな港には、古い漁が波のきに任せてずらりと繋がれていた。臭い潮のりを帯びたいが、からりたの刑事の顔を激しく撫でていった。
田刑事と鈴刑事は、田の方を探して港のコンクリートを歩いた。くで網を補修していた老漁師に声をかける。
「すみません、田さんのはどれですか?」 「あそこの青い根のが、田のじいさんのだよ」
漁師はに顎を突きして指差し、教えてくれた。
がそのへとづくと、ので網の入れをしていた60代の男性が、音に気づいて顔をげた。そのはゴツゴツと節くれっており、差しで黒く焼けた顔には、荒波と戦ってきた過酷なの跡が刻まれていた。
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「田さんですか?」 「そうだが……誰だね?」 「鹿児島警察署のものです」
田刑事は縁へとづき、警察帳を提示した。
「1988のフェリーでの、佐藤エミさんの失踪事件について、いくつかお話を伺いたいのですが」
田のが瞬、自然にピタリと止まった。彼は網を握り直すと、刑事を警戒するように睨みつけた。
「22ものことを、今更なぜ聞くんだ?」 「最、底からたな証拠が見つかりましてね。しおをいただけますか?」
田は黙って網を元に置くと、い取りでからりてきた。
「そこの喫茶で話そう……」
港の目のにあるさな古い喫茶に座り、田はお茶をすすると、々しくをいた。
「佐藤エミか……。あのお嬢さんがくなって、もうそんなになるんだな」 「当の失踪の状況を、正確に覚えていますか?」 「覚えてるとも。俺のからが1いなくなったんだ、忘れられるわけがないだろう」
田は曇った目で、窓のに広がるのを眺めながら言った。
「あの夜、内で何か特別な来事はありませんでしたか?」 「特別なことなんて何もなかった。いつも通りの、平凡な航だったよ」 「佐藤エミさんは、どのような乗務員でしたか?」
田刑事が帳を取りしてペンを構えながら尋ねると、田は線を落とした。
「が良くて、仕事もできる良い子だった。
俺もかなりがっていたよ。ただ……」
田はし言葉を切り、周囲を見回してから声を潜めて付け加えた。