"海が隠した最後の写真" 第5話
鈴は息を呑んだ。
「これが、桜さんの最の姿か」
佐藤捜査官が画面の部を拡する。桜の背、暗ので揺れるの部がぼんやり映っていた。さらに拡すると、な鉄の錨が見えた。その取っには、イニシャルが刻まれている。
S.O.
鈴の目が見かれた。
「野のだ」
、野が自分のの錨は特注品だと自していた姿が脳裏をよぎる。
鈴は京へ戻ると、田に命じた。
「笠原へけ。野を連しろ」
方、武志は取調で同じ言葉を繰り返していた。
「本当に私でやったことです」
鈴は復元写真をテーブルに投げた。
「まだ嘘が通じるとっているのか。桜がぬ直に撮った写真だ。ここには、おの親父のの錨がはっきり映っている」
武志の顔から血の気が引いた。
「これが……なぜ」
鈴はく言った。
「親父の代わりになろうなんて、もう終わりにしろ」
同じ頃、別の取調では、野が腕を組み、田刑事を見ろしていた。
「弁護士が来るまで黙秘する」
野はしも揺していなかった。
鈴はの理を揺さぶることにした。まず野の取調に入り、淡々と告げる。
「あなたの息子が、先ほどすべて話しました。、父親に命じられてやっただけだと」
野の眉がわずかにいた。
鈴は写真を突きつけた。
「あなたのだという証拠もました」
広告
野は瞬だけ表を崩したが、すぐに黙秘を続けた。
鈴はすぐ武志の部へ戻った。
「おの父親が、すべての罪をおに押しつけたぞ」
武志が顔をげた。
「え……?」
「自分は何もらなかった。おが桜にになって単独でやったことだと言っている」
「嘘だ……親父が、そんなことを」
鈴は畳みかけた。
「、おを盾にしてきた男だ。最に尻尾を切るのも当然だろう」
武志の唇が震え始めた。父への恐怖と裏切られたりが、ついに限界を超えた。
「もう……無理です」
涙が頬を伝った。
「全部話します」
翌朝、野ので鈴は静かに言った。
「息子さんが昨夜、すべて話しました。父親に命じられたと」
その瞬、野の顔が歪んだ。
「あの馬鹿息子が……最まで黙っていろと、あれほど言ったのに!」
机を拳で叩く。
鈴はので息を吐いた。野は自ら罠に落ちた。
やがて野は、の真実を語り始めた。
桜は密輸資の千万円を横取りし、健太と逃げようとしていた。野は再び取引をしようと誘いし、を無島へ連れてった。を運転していたのは武志だった。
「島に着いてから、まず男を始末した。をで殴った。女は逃げながらカメラで何か撮りやがったが、結局捕まえてへ叩き込んだ」
隣の部で、武志も泣きながら語っていた。
「父が怖かったんです。
広告
逆らえませんでした。健太さんがんでいくのを、ただ見ていました」
「なぜカメラを処分しなかった」
田が尋ねると、武志は顔をげた。
「あれだけでもなければ、いつか父が僕まで殺すとったんです。桜さんの最の写真が、僕を守ってくれる唯の証拠だといました」
、が守っていた秘密は、ようやく言葉になった。
野の自を受け、かもめ荘への規模な宅捜索が始まった。捜査員たちは古い倉庫へ入り、板を剥がしていった。湿った材の匂いとカビの臭気が広がる、の捜査員が叫んだ。
「こっちです。鞄があります。つやつじゃありません」
の隠し空から、古びてカビのえた旅鞄がつ見つかった。には分証、計、指輪、財布などが詰め込まれていた。それらはすべて、過に笠原で方になった々の遺品だった。
さらに、分い帳簿も発見された。との密取引の記録、子部品、貴属、巨額の現の流れ。野の黒い帝国が、そこに記されていた。
捜査の結果、野は父島の無島を拠点に、にわたって密輸組織を運営していた。そして秘密に気づいたを、またと消してきた。
桜と健太は、その連続殺の最初の犠牲者だった。
桜はの誘惑に負け、組織の資を持ちそうとした。
健太はその秘密をりながら彼女をし、共に逃げようとした。その若い選択が、野のりを買った。