"実家ホテル終了の日" 第2話
「気を使わないでください」
気を使わないで済むのは、来る側です。迎える側は、布団を用し、事を作り、部をえ、朝のにわせて台所につことになるのです。
私はスマートフォンを膝のに置き、しばらく井を見げました。
夫が庭から戻ってきて、私の様子に気づきました。
「また直たちか?」
「百さんからメールが来たの」
私は画面を見せました。
夫は黙って読みめました。最初は表を変えませんでしたが、最の方になると眉にしわが寄っていきました。
「これは……ずいぶん細かいな」
「そうね」
「6分の布団、事、迎えまでか」
夫は静かに息を吐きました。
普段なら、夫は息子のことを悪く言いません。どんなでも、「直にも事があるんだろう」と受け止めようとします。その夫でさえ、今回は戸惑いを隠せないようでした。
そのも、直からメッセージが続きました。
「布団6組、ちゃんと用しといて」
「駅まで迎えに来られるよね?」
「観に使うからも貸してくれる?」
「子どもたちが寝たらだけでゆっくりしたいから、夜は静かにしてて」
私は画面を見るたびに、がしずつくなっていきました。
相談ではありませんでした。
お願いでもありませんでした。
すべてが、もう決まったこととして送られてくるのです。
私は何度も返信を打とうとしました。
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「こちらにも都があります」
「6は急すぎます」
「宿泊先は別に取ってほしいです」
けれど、そのたびに指が止まりました。
族なのだから。
息子なのだから。
孫にも会えるのだから。
そう自分に言い聞かせて、私は言葉をみ込みました。
そのの夕方、私は台所で夕の支度をしながら、ぼんやりと鍋を見つめていました。噌汁の湯気ががっているのに、何の匂いもじられないほどが沈んでいました。
「無理しなくていいんだぞ」
背から夫の声がしました。
私は振り返りました。
夫は優しい目で私を見ていました。
「でも、直たちも楽しみにしているでしょうし」
「楽しみにしているのは、自分たちが楽できるからかもしれない」
夫の言葉に、私は胸を突かれました。
分かっていたのです。
けれど、認めたくなかった。
息子が私たちを無料の宿泊先のように扱っているなど、いたくなかったのです。
私は鍋のをめ、そっと蓋をしました。
胸の奥に刺さっていた棘は、しずつくなっていました。
数、私は所の友たちと喫茶で会いました。
に1度のさなお茶会です。いつもなら況や健康の話、庭のの話で笑いうでした。けれどその、私は笑顔を作ることができませんでした。
「子さん、今は元気がないわね」
友の1が、コーヒーカップを置きながら尋ねました。
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私はし迷いました。庭のことをで話すのは気が引けました。けれど、胸に溜まったものを1では抱えきれなくなっていました。
「実はね、来、息子たちが泊まりに来るの」
「まあ、いいじゃない。お孫さんにも会えるんでしょう?」
最初は友も微笑みました。
私は頷きながら、続きを話しました。息子夫婦と子どもたちだけではなく、嫁の両親も緒に来ること。布団6組、事、送迎、アレルギー対応、朝と夕のまで指定されていること。そして、昼は自分たちだけでゆっくりしたいから、私たち夫婦にはを空けてほしいような言い方をされたこと。
話し終える頃には、友たちの表はすっかり変わっていました。
「それ、完全に無料ホテル扱いじゃない」
1がはっきりと言いました。
私はわず顔をげました。
「無料ホテル……」
「だってそうでしょう?泊まる所を用して、事をして、送迎までして、それで謝の言葉もないんでしょう?」
別の友も首を横に振りました。
「自分の親だけならまだしも、嫁側の親まで連れてきて、全部押し付けるなんて普通じゃないわ」
「せめて、泊めてもらえますかって聞くべきよね」
「宿泊費を払うとか、お礼をするとか、そういう気持ちもないの?」
その言葉を聞いた瞬、私ははっとしました。
そうなのです。
度も「ありがとう」
と言われていませんでした。
「泊めてくれて助かる」
「変だけどお願いできる?」