"年金九万円の同窓会" 第2話
静かに、だが確実に、この問いは積もっていった。私はまだ答えをさない。ただ座って、招待状を見つめていた。
退職してから、私はおをとてもさな単位で数えるようになった。
何万円でも、何万円でもない。
円、円だ。
割引されたパンがいくらか。野菜がくなる曜はいつか。末に薬を買えば、座残がどこまで減るか。
私はそのすべてを、ほとんど無識に計算している。
午になると、私は古い計簿をく。
表の端は擦り切れ、何度もめくったページはし波打っている。そこに、今の気代、ガス代、薬代、費をき込む。
血圧の薬はやめられない。
関節の薬も必だ。
削れない支に線を引いていくと、残るものはいつもない。
「もう慣れた」
私は何度もそうってきた。
けれど、本当は慣れたのではない。
考えないようにしているだけだ。
今は肉を買えば、は豆腐になる。
今は喫茶でコーヒーをめば、来週は果物を諦める。
どれも違った選択ではない。
でも、どの選択にも必ず代償がある。
娘は々、話で言う。
「お母さん、りなかったら言ってね」
私はいつも笑って答える。
「丈夫よ」
本当は、何度も言いかけたことがある。
けれど、言わなかった。
娘には娘の暮らしがある。
賃も、子供の学費も、毎の活もある。
私は、母親としてきてきた。
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今さら養われるになるのが嫌なのではない。
娘の活に、自分のを置きたくなかった。
夜になると、私は部の照をつずつ消す。
気代を惜しんでいるだけではない。
の部には、そんなにるさはいらない。
暗がりので、くをるの音を聞く。
そのたびう。
この団のどれほどの部に、私と同じようながいるのだろう。
支援が必なほど貧しくはない。
でも、できるほど余裕もない。
そのにいる齢の女性たち。
誰にも注目されず、誰にも尋ねられず、静かに毎をやりくりしているたち。
私も、そのだった。
同窓会のハガキは、まだテーブルのにあった。
参加費千円。
くのにとっては、しい事代くらいかもしれない。
でも私には、週の費にい。
その額を見つめながら、私は自分があまりにも狭い選択肢のできていることに気づいた。
きたいからく。
欲しいから買う。
そんな単純なことが、今の私には簡単ではない。
何をするにも理由が必で、計算が必で、する根拠が必だった。
ハガキは、ただのではなかった。
それは私に問いかけていた。
「あなたはまだ、自分のためにおを使えますか」
私はその問いに、すぐには答えられなかった。
同窓会のハガキを見てから、私は昔のことをいすようになった。
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普段は触れないようにしていた記憶だった。
忘れたかったわけではない。
ただ、もう自分には関係のないいだとい込んでいた。
の教。
になると窓がけ放たれ、カーテンがに揺れていた。
私は窓際の席に座り、その隣に宮原理恵がいた。
理恵は、いつものにいるような子だった。
綺麗なワンピースを着て、自信のある話し方をして、笑うと周りまでるくなる。
学にきたい。
京で働きたい。
層マンションにみたい。
理恵はよくそんなを語った。
私はそれを聞きながら、ただ笑っていた。
私にもがなかったわけではない。
けれど、を見るには現実がすぎた。
父はくにくなり、母は朝から晩まで働いていた。
には余裕がなかった。
学という言葉は、私にとって最初からの届かない所にあった。
卒業、理恵は学へみ、私はで働き始めた。
番と遅番を繰り返す々。
料はくなかったが、定はしていた。
に迷惑をかけずにきられる。
それだけで分だとっていた。
理恵からは、々が届いた。
京の寮のこと。
学の授業のこと。
初めて入った喫茶のこと。
私はそれを読んで、そっと引きしにしまった。
羨ましいというより、い世界の話のようだった。
その、私は結婚した。
裕福ではないけれど、誠実なだった。
子供がまれ、このでもいいとった。
けれど、夫はくにくなった。