"紙袋の中の二千万円" 第2話
当たりがよく、を回すのもい。その分、誰を側に置けば自分がよく見えるかも、よくっているだった。
娘はケーキの位置をし直しながら、さく言った。
「だって、寄りの匂いするし」
その言で、空気が止まった。
誰も骨には反応しなかった。ただ、聞こえていないふりをする沈黙が、番きつかった。
私は持っていた袋のをそっと閉じた。
袋ので封筒の角が指に当たる。このを見せれば終わる。終わるけれど、それは族の輪を元に戻す終わりではない。切れる終わりだ。
私はまだ、そこまできたくなかった。
その、ひなが私の裾を引いた。
「おばあちゃん、おめでとうの、緒にいてね」
私はしゃがみ、ひなと目線をわせた。
「もちろんよ。でね」
そう答えた声は、自分でも驚くほど静かだった。静かすぎて、壊れ物みたいだった。
しして、娘は私を玄関の方へ呼んだ。
来客が増えるに、という顔をしていた。玄関のたたきには、見覚えのないい靴が何も並び始めていた。
娘は扉をしだけけ、私をへ促した。
「お母さん、悪いけど、今は帰って。今のうちに」
私はすぐにはがわからなかった。
「帰る? 今から始まるのに。ひなの誕なのに」
娘は声をくした。
「空気読んでよ。今はうちの事ななの。変な気を使わせたくないの。
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所のも来るし、健太の司も来る。お母さんがいると説が面倒なの」
説。
その文字が、胸の奥に鈍く沈んだ。
私が何者かを説するのが面倒だということだ。母親だというのが面倒で、招いたというのも面倒で、ここにいる理由を考えるのも面倒なのだ。
私は言った。
「私は、あなたの母親よ」
娘はすぐに返した。
「今はそういうの、いから」
その瞬、私は初めて、自分が荷物として扱われているのだとはっきりわかった。
古い。見せたくない。写真に写したくない。そういうものとして、のにたされている。
インターホン越しに、健太の声がなった。
「帰らないなら警察呼びますよ」
冗談だといたかった。
けれど、娘は止めなかった。むしろ扉の向こうで息をえ、決したの声で言った。
「今すぐ帰って。帰らないなら警察呼ぶから」
私は返事をしなかった。
袋の持ちを握るに力を込めた。
逃げるように帰れば、このは丸く収まるのだろう。娘の理のも壊れない。ひなの写真も笑顔のまま残る。
私はまたでに揺られ、めた煮物の鍋を抱えて、自分の狭い台所に戻ればいい。
だけど、その帰りの先にあるのは、静かな解決ではない。
私のがなかったことにされるだけだ。
のにたところで、背越しに子供の声がした。
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「ママ、なんでおばあちゃん入れないの?」
娘の返事は、すぐには来なかった。
ののざわめきが瞬止まり、誰かが咳払いをした。その、く押し殺した声が漏れた。
「だって、恥ずかしいから」
その言葉は、扉枚を隔てているはずなのに、まっすぐ胸の奥へ入ってきた。
私は目を閉じた。
恥ずかしい。誰にとっての、何に対する恥なのか。答えはもう、考えなくてもわかっていた。
私自が、恥なのだ。
このまま帰ればいい。そうった。
けれど、袋ので封筒の角がもう度、指に当たった。
夫の字でかれた私の名。
そのに、見慣れた印鑑の跡がかすかに透けている。あの、役所で専のに座り、何度も読みげられた言葉をいした。
贈与ではなく、貸付。返済期限。利息。未払いのの制執。
私は、これを使うが来ないことを願っていた。
娘を疑うためのではないとっていたからだ。
もうつ、記憶がなった。
数、娘が「急ぎだから」と類を持ってきた夜のことだ。夕の、卓に広げたので、娘は言った。
「ここ、押印だけお願い。細かいところはもう確認してあるから」
私は老鏡をかけるのも面倒で、そのまま印鑑を押した。娘が急いでいるならと、何も疑わなかった。
あの、ちゃんと読めばよかった。
袋のには、そのの控えも入っている。
最、司法士に頼んで取り寄せた写しだ。
のでち尽くす私の元にが落ちた。
振り向くと、隣のの奥さんがゴミ袋を持ってっていた。