"天井裏の黒いバッグ" 第2話
夕方、健は族を連れて鈴の観ホテルへ向かった。ホテルは京都内の部からしれた静かな所に建っていた。
午630分。
田がロビーに入ると、フロントにいた本子が顔をげた。彼女はそののことを、になっても覚えていた。
父親は暗い表をしていた。
母親と娘は、旅客らしくし疲れながらも穏やかに見えた。
だが、通常のチェックインとは違うことが起きた。宿泊登録をするに、社である鈴太郎が自らロビーに現れたのだ。
「お待ちしていました」
鈴はそう言うと、従業員にをさせず、自分で田を3階へ案内した。
部は3階の番奥にある305号だった。
鈴はドアをけ、荷物を置くよう促した。
「今夜の事は私がもてなします。8頃、1階のレストランへ来てください」
健はさく頷いた。吉は夫の表を見てしになったが、ホテルの部が綺麗にえられていることに気を取られ、くは尋ねなかった。
夜8過ぎ。
田は1階のレストランで鈴と夕を共にした。料理は丁寧に並べられ、表向きにはやかな席に見えた。
しかし、健と鈴のには奇妙な緊張が漂っていた。
事の途、鈴はワイングラスを置き、に言った。
「族が番切ですよね。族のためなら、何でもできるでしょう」
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吉はその言葉に違を覚えた。美希も瞬、父の顔を見た。
健は何も答えず、箸を握ったまま目を伏せた。
事が終わると、鈴は健に向かってい声で言った。
「し、事務所で話しましょう。返済条件のことです」
健は妻と娘に先に部へ戻るよう言った。
「仕事の話だ。すぐ戻る」
吉は夫の顔が暗いことに気づいていたが、何が起きているのかは分からなかった。ただ、仕事の話なら仕方がないとい、美希と緒に305号へ戻った。
部ではテレビをつけ、翌の予定を話しながら健を待った。
しかし、30分が過ぎても、1が過ぎても、健は戻ってこなかった。
吉がになり始めた頃、客のドアがいた。
入ってきたのは健ではなかった。
鈴太郎だった。
彼の表は、夕のとはまるで違っていた。
「ご主と事な話がある。2にも来てもらう」
吉はちがった。
「夫はどこですか」
鈴は答えなかった。ただドアをきくけ、く言った。
「がない。ついてこい」
美希がそうに母の腕を掴んだ。
2はわけも分からないまま、鈴に従って廊へた。
しかし、鈴が向かったのはエレベーターではなかった。
廊の突き当たりにある非常階段だった。
夜10以、305号は静まり返った。
廊を通る宿泊客もほとんどおらず、従業員も3階へがってこなかった。
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その夜、そのホテルで何が起きたのか、からる者はいなかった。
ただ確かなことは、翌朝、田がチェックアウトしなかったという事実だけだった。
2004103、曜の朝。
客清掃を担当する従業員が305号のドアをノックした。返事はなかった。チェックアウトの午11を過ぎても応答がないため、マスターキーでドアをけた。
内は空だった。
ベッドには使用した形跡があり、浴のタオルも濡れていた。だがはいなかった。荷物だけがそのまま残されていた。
清掃員はすぐにフロントへ連絡した。
「305号のお客様が、荷物を置いたままかけているようです」
本子が宿泊記録を確認したが、そこに田の名はなかった。チェックアウトの記録もない。ロビーの監カメラにも、3がていく姿は映っていなかった。
本は社の鈴に報告した。
鈴の反応は、なほど静だった。
「朝く散歩にたんだろう。そのうち戻る。とりあえず待て」
午になっても田は戻らなかった。
すると鈴は、客の荷物を片付けて保管するよう指示した。
同じ頃、京では健の古で働いていた佐藤実が配していた。健は曜の朝には戻ると言っていたのに、携帯話がつながらない。の話にも誰もなかった。
104、曜。
古のシャッターは閉まったままだった。佐藤が何度話しても、健とは連絡が取れなかった。