"講堂に残された角帽" 第5話
肝の文ファイルの作成は19941011。最終更は19941014だった。
その内容は、誠郎の学部卒業論文の核そのものだった。
方、学会誌編集部からも回答が届いた。藤竜の原稿の最初の受付は、19941024だった。
誠郎のファイルが作成された付は、竜の学会誌原稿の受付よりもだった。
さらに跡鑑定でも、ノートは誠郎本のものと確認された。
鬼塚は資料を見つめながら言った。
「いた点は誠郎が先。投稿の点は藤竜がだ」
次に、同期への再聞き込みがめられた。
誠郎と最も親しかった友の1、井介は、京の会社に勤めていた。会社くの喫茶で、井は刑事たちをに言った。
「あののことですが、実はが経ってから、おかしいとったことがあります」
卒業式の朝、井は誠郎と講堂脇の芝で待ちわせていた。式が始まる20分ほど、1の先輩がづいてきた。
「ちょっと話がある。父のことだ」
そうい声で告げ、その先輩は誠郎を講堂の裏へ連れてった。
「その先輩の名を覚えていますか」
刑事が尋ねると、井は迷わず答えた。
「藤竜先輩です。藤正幸先のご子息です」
200559、曜の朝。
港区赤坂のオフィスビル駐で、藤竜は運転付きの黒い乗用からりた。
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37歳になった竜は、2002に見報システム株式会社を設し、代表取締役として商15億円ほどの会社を率いていた。なりはい、表には余裕があった。
エレベーターへ向かおうとした、背広姿の2が歩み寄った。鬼塚係と刑事だった。
「藤竜社でいらっしゃいますね。戸塚警察署の者でございます。1995224、稲田学の卒業式当に方が分からなくなった笠原誠郎君の件で、いくつかお伺いしたいことがございます」
竜の表はほとんどかなかった。
「分かりました。弁護士に1本連絡を入れてから参ります」
取調で、竜の弁護が同席した。鬼塚は急がなかった。まず1995224のことを尋ねた。
「その、笠原誠郎君にお会いになったことはございますか」
竜は姿勢を崩さず答えた。
「顔くらいは見かけたかといます。学部の輩でしたから。けれど、別に話を交わした覚えはございません」
鬼塚は静かに封筒をけた。
最初にしたのは、誠郎の学ノート3冊だった。鑑定番号の貼られた袋に入っている。
「これは19943から10まで、笠原誠郎君が自らき残した研究ノートです。跡は本のものと確認されました」
次に、フロッピーディスクを見せた。
「このの文ファイルの作成は19941011。内容は、誠郎君の研究モデルそのものです」
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鬼塚は竜を正面から見た。
「そして、あなたの学会誌論文の最初の受付は19941024です」
竜のの甲の血管が、ゆっくりいた。
弁護がを挟んだ。
「今お示しの事実関係は、民事、あるいは学内倫理の領域であって、刑事事件の証とは別の話です」
鬼塚はうなずいた。
「おっしゃる通りです。これだけであれば、本ご労いただくことはありませんでした」
彼は3つ目の類をした。
井介の供述調だった。
「卒業式の始まる20分ほど、藤竜先輩が誠郎に歩み寄り、『ちょっと話がある。父のことだ』と告げ、講堂の裏へ連れてきました。それきり誠郎は戻ってきませんでした」
竜の顎の筋がかすかにいた。
最に、鬼塚は4つ目の封筒をいた。
藤正幸教授の正式な供述だった。
面に父の跡を見た瞬、竜の顔が初めてきく揺らいだ。
「お父様は、1995223、卒業式の夜、笠原誠郎君が研究を訪ね、自分の論文を守りたいと訴えた事実をお話しくださいました。そしてその翌の夜、あなたを問いただした、あなたが目をわせることができなかったことも」
取調には、空調の音だけが残った。
竜はいかなかった。
やがて、弁護が何かを言いかけたが、竜はをげて制した。
「父が……話したのですか」
声は初めて揺れていた。
そのの晩、竜は取調からないと言った。弁護士との相談も拒み、晩、机のに座っていた。