"講堂に残された角帽" 第4話
その先のことは、先に学者としてご判断いただきたくじます」
誠郎はそう言って、静かに帰っていった。
教授はその夜、もできなかった。息子の論文には部助言をしたことがあったが、実際の分析と執は竜が1でやったものだとい込んでいた。
翌朝、藤教授は卒業式の会へ向かった。
式がみ、商学部経営学科の優秀卒業者の呼びげが始まる。マイクから「笠原誠郎」という名が響いた。
しかし、壇へがる者はいなかった。
名がもう1度呼ばれた、教授には分かった。
何かが、取り返しのつかないところまで狂ってしまったのだと。
鬼塚係は、静かに尋ねた。
「先、あのなぜ、すぐに私にお話しくださらなかったのですか」
藤教授は顔をげた。目尻には涙が滲んでいた。
「その晩、私はに戻り、息子を部に呼びました。卒業式に誠郎君が現れなかったこと。そしての晩、彼が私を訪ねてきたことを告げました。それから問いました。おは今、誠郎君に会ったことがあるか、と」
竜は、学でちらりと顔を見ただけだと答えた。
けれど、その言葉をにしながら、父と目をわせることができなかった。
「私はその、とっさに疑いました。けれど、疑いだけで息子を警察に引き渡すことはできませんでした。証拠は、誠郎君の言葉だけでした。
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そして、その言葉を裏付ける原本は、誠郎君本が持ってくるはずだったのです」
教授の声が震えた。
「刑事さん、私は卑怯でございました。私が名乗りれば、学部全体が揺らぎ、息子の途も潰れてしまう。私は妻と何度も話しいましたが、結局、を閉ざすことを選んだのです」
10、テレビの再放送で、息子を探し続ける老夫婦を見た。
その瞬、藤教授はもう沈黙できなくなった。
「私は涯、経営学を教えてきたです。学たちに、数字は嘘をつかないと語ってきました。ところが私自は、10もの、嘘を抱えてきてきたのです」
教授はくをげた。
「刑事さん、私は息子を疑っております。けれど今もなお、その疑いが違いであってほしいと願っているのです」
鬼塚係は、差しされた2本の論文を見つめた。
そして静かに言った。
「先。本のお話、正式な供述として記録に取らせていただきます。そしてこの事件は、本付で再びきます」
翌、戸塚警察署の会議には、10の捜査類と、藤教授が差しした論文、研究ノートの束が並べられた。
鬼塚係は輩の刑事たちをに、方針を4つに理した。
1つ目、誠郎の宿への再訪問。
2つ目、親しかった同期への再聞き込み。
3つ目、藤竜の論文が掲載された学会誌編集部から、原稿受付記録を入すること。
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4つ目、藤竜本の現の向を周辺から静かに探ること。
「藤竜本に触れるのは最だ。今は罠を仕掛ける段階ではない。まず堀から埋める」
そのの午、鬼塚係たちは稲田町の宿先を訪ねた。玄関の戸をけてくれたのは、背の曲がった老女だった。
「誠郎お坊ちゃんのことを、私が忘れるものですか」
彼女は刑事たちを2階のさな部へ案内した。部は19952のまま、が止まったように残されていた。机のにはく埃が積もり、壁にかかった暦はそのの2で止まっていた。
机のには、取っのついた古い茶の箱が置かれていた。
鬼塚が袋をはめて箱をけると、には分い学ノートが3冊、ビニール袋に包まれたフロッピーディスクが1枚、図館の貸記録が入っていた。
ノートの最初のページには、はっきりとした跡でかれていた。
「199439。卒業論文の研究計画。指導教官、藤正幸先。テーマ、国内企業の資調達構造の実証分析」
そのには、理論背景、先研究の理、分析変数の設定、実証モデルがびっしりき込まれていた。
6には標本の選定基準。
9には実証法の確定。
10には分析結果の初期読み解き。
ノートは、1994から12まで、誠郎の研究が積みがっていく筋をそのまま写し取っていた。
フロッピーディスクの解析結果は2にがった。
には文ファイルが7つ、表計算ファイルが4つ残されていた。