"月2万円の老後" 第6話
収入証、診断、民票、保証の準備。類はかったが、良子にとってそれは苦痛ではなかった。誰かに押し込まれるのではなく、自分で選んでめる続きだったからだ。
良子は自宅に戻ると、健と恵子に連絡した。
2はすぐにやってきた。
リビングに3で座ると、健がそうにをいた。
「お母さん、老ホームのことなら、もうし良いところも探せます」
良子は首を横に振った。
「老ホームにはかないわ」
恵子が困った顔をした。
「じゃあ、どうするの。1暮らしは危ないでしょう」
良子は用していたパンフレットをテーブルのに置いた。
「齢者向けの宅に申し込んだの」
健はパンフレットをに取り、眉をひそめた。
「2万円……こんなところ、丈夫なんですか」
「見学してきたわ。バリアフリーで、活支援員の見守りもある。必なは訪問介護も使える」
恵子はし驚いたように資料を見た。
「でも、お母さんの今のはどうするの」
その言葉に、良子は静かに背筋を伸ばした。
「このは売らないわ」
健の顔が変わった。
「でも、売れば老ホームの費用にも、これからの活にも……」
「だから、売らないと言っているの」
良子の声は穏やかだったが、はっきりしていた。
「このは私の財産よ。あなたたちの学費のためでも、老ホームのためでもない。
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私が本当に必だとったに、私が決めるものなの」
健は黙り込んだ。
恵子は目を伏せた。
「私はね、あなたたちを責めたいわけじゃないの」
良子はゆっくり続けた。
「あなたたちにも活がある。子どもの学費も、仕事も、庭もある。それは分かっているわ。でも、私をどこかへ移せば解決するとわないでほしいの」
健の目が揺れた。
「お母さん……」
「私はあなたたちの負担になりたくない。でも同に、あなたたちの都でを決められたくもないの」
部のが静かになった。
良子はパンフレットにを置いた。
「ここに入るわ。2万円ならで払える。必な支援は制度を使って受ける。あなたたちに活費を頼むつもりはない」
恵子がさく言った。
「私たち、そんなつもりじゃ……」
「分かっているわ。でも、結果として私はつらかった」
その言で、恵子の目に涙が浮かんだ。
健も肩を落とした。
「ごめん、お母さん。俺たち、自分たちの都ばかり考えていたのかもしれない」
良子はしだけ微笑んだ。
「気づいてくれたなら、それでいいわ」
数週、入居が決まった。
良子は必な具だけを選び、さな部へ移った。んだを完全に放すわけではなかったが、常の拠点をしい所へ移すことにした。
引っ越しの、健と恵子は荷物を運ぶのを伝った。
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部にさな器棚を置き、ベッドの横に杖をてると、良子は窓をけた。
が入ってきた。
公園の々が揺れていた。
「ここがお母さんのしいね」
恵子が静かに言った。
良子は頷いた。
「ええ。私が選んだよ」
その言葉は、良子自の胸にもく響いた。
シルバーハウジングでの暮らしは、驚くほど穏やかに始まった。
朝は自分のに起きる。
台所で簡単な噌汁を作り、窓辺でお茶をむ。
膝の調子が良いは、建物のにあるさな壇まで歩いた。悪いは無理をしない。活支援員が週に数回訪ねてきて、体調を確認してくれる。
「田さん、今は顔がいいですね」
「ええ、よく眠れたの」
そんないやり取りが、良子にはよかった。
老ホームのようにすべてのを決められることはない。
子どもののように、誰かの活を邪魔しているとじることもない。
必なだけ助けを借り、それ以は自分ので暮らす。
それがどれほどの尊厳を守るものなのか、良子はをもってった。
2万円の賃を払い、の範囲で活をえた。費や費を差し引いても、しずつ貯を残すことができた。訪問介護も、必なだけ利用すればよかった。
ある、健が訪ねてきた。
「お母さん、ここ、ったよりいいですね」
健は部を見回しながら言った。
良子は笑った。
「豪華ではないけれど、私には分よ」
健はし黙ってから、をげた。
「を売れなんて言って、ごめん。