"月2万円の老後" 第2話
老は子どもに頼らず、自分で責任を持つこと。
その帳は退職するまで、ずっと机の引きしの奥に切にしまっていた。
それなのに、議なものだった。
には30伝えてきたはずの言葉を、良子は自分自には実践できていなかった。
退職、同僚に聞かれるたびに、良子は笑って答えていた。
「旅にもって、趣も楽しんで、まだ体がくうちはボランティアもやってみようかしら」
けれど実際には、はっきりした老の計画はなかった。
体さえ壊さなければ何とかなる。
そうっていた。
ところが世のは、い通りにはいかない。
退職して1もたたないうちに、良子の膝は痛み始めた。
最初はを取れば誰でもそんなものだと軽く考え、湿布を貼り、薬をみ、温めて様子を見た。けれど痛みはくなるばかりだった。
病院でMRI検査を受けた、医師は刻な表で告げた。
「田さん、両膝の骨がかなり摩耗しています。ほとんど残っていない状態です。関節置換術が必です」
その言葉を聞いた瞬、良子ののは真っになった。
の相談に乗る側だった自分が、今度は助けを必とする側になったのだ。
術は無事に終わった。
しかし、術のリハビリはうようにまなかった。両膝を同に術したため、ちがるだけでも痛みがった。
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トイレにくことさえ、誰かのを借りなければならなかった。
退院のがづいた頃、男の健が言った。
「お母さん、うちに来てください。しばらく1での活は難しいでしょうから」
良子は断れなかった。
本当は自分のに帰りたかった。けれど、体が言うことを聞かなかった。
こうして良子は、健のにを寄せることになった。
最初の1週は穏やかだった。
健も、妻の美佐も親切に接してくれた。孫たちも「おばあちゃんが来た」とんで、良子の部に顔をした。
良子はそのたびに、の底からありがたいとった。
けれど、しずつ空気は変わっていった。
「お母さん、今は会社のみ会があって遅くなります」
健が玄関でそう言うが増えた。
「あ、お義母さん、私も今は残業で。子どもたちの夕は蔵庫におかずがありますから、し見ていてもらえますか」
美佐の声は丁寧だった。けれど、表には疲れがにじんでいた。
良子は「ええ、丈夫よ」と答えた。
しかし、膝の痛む体で孫たちの様子を見るのは簡単ではなかった。孫たちは最初こそ良子の部に来たが、やがて自分たちの部にこもるようになった。
ある、トイレへこうとして部をた、台所から美佐の話の声が聞こえた。
良子はを止めた。
「もう本当に息が詰まって、きていられないの。
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お義母さんが来てから、の雰囲気が全部変わってしまったの」
良子のが壁に触れた。
「子どもたちも友達を連れてこられないし、夫もに帰りたがらなくて」
話の向こうの相が何か言ったのだろう。美佐はさな声で続けた。
「最、老ホームを調べているんだけど、25万円なら良い所に入れるみたい。どうせリハビリが終わったらてっていただかないといけないし、しめにっていただく方がいいんじゃないかしら」
胸がずきりと痛んだ。
その瞬、良子が30相談に乗ってきた齢者たちの顔が、馬灯のように浮かんだ。
子どものためにきてきたのに、今度はをろと言われる。
田先、私みたいな目にあってはいけませんよ。
ベッドに戻った良子は、井を見つめたまま眠れなかった。
自分は分かっていたはずだった。
こうなるを何も見てきた。
それなのに、なぜ自分の老だけは丈夫だとっていたのか。
涙がこめかみを伝い、枕に染み込んでいった。
その夜、良子はので決めた。
これ以、子どもたちの顔をうかがいながらきるのはやめよう。
老ホームで寂しく余を過ごすのもやめよう。
自分のは、自分で責任を持とう。
けれど、その決のにはきな現実があった。
1暮らしには膝が自由すぎる。
介護士を雇えば額になる。
老ホームに入るつもりはない。
良子は30の識と経験を総員して、別のを探そうと考え始めた。