"東京駅に消えた母" 第4話
「当、お兄様の暮らし向きはどうでしたか」
「兄は町で働いていて、料もくありませんでした。楽ではなかったといます」
「お母様の財産は」
「通帳にいくらか残っていたようですが、はっきりとは分かりません。母は認症がありましたから、通帳は兄が預かっていました」
宅は静かに頷きました。
ので、ぼんやりとした輪郭が浮かびがり始めていました。
翌、宅は佐倉ミサ名義の通帳の取引履歴を照会するため、へ向かいました。
窓の職員は難しい顔をしました。
「27の記録ですので、子データでは残っておりません。マイクロフィルムなら保管されている能性があります」
3、から連絡が入りました。
「該当するマイクロフィルムが見つかりました」
宅はすぐにへ向かいました。
古いフィルムが読み取りにかけられると、かすれた文字が画面に浮かびがりました。
19889の取引履歴でした。
宅は画面を1ずつ追いました。
925、午1015分。
5万円の引きし。
の欄には、佐倉ミサ。
その横に、代理として佐倉の署名がありました。
そして午120分。
座解約。
残全額引きし。
宅は息を止めました。
方届がされたのは午2です。
つまり、は母が方になるに、母の通帳からを引きし、さらに座を解約していたことになります。
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宅は伝票の画像を確認しました。
震えた跡でかれた佐倉ミサの署名。
った字でかれた佐倉の署名。
が寸分の狂いもなく、事件のにはまっていきました。
だが、宅にはもう1つ確かめたいことがありました。
彼はかつての国鉄の資料保管へ向かいました。
1988925の乗券販売記録を調べるためです。
埃をかぶった倉庫で、分いきの台帳がかれました。
やがて、本線の記録に目が止まりました。
「1232分、き乗券1枚」
備考欄には、鉛でさくき添えられていました。
「男性。連れなし。単独」
宅は胸の奥で鼓が速くなるのをじました。
当その切符を売った窓係を探すと、1だけ命の元駅員が見つかりました。
松本敏夫、72歳。
宅は自ら彼のもとを訪ねました。
「1988925のことを覚えていらっしゃいますか」
松本は最初、首をかしげました。
「輪の頃でしょう。あの期は本当にがかったですからね」
宅は台帳の写真を見せました。
「きの切符を買った男性のことを覚えていませんか」
松本はしばらく写真を見つめ、ゆっくり頷きました。
「いせそうですね。の男のが切符売りに来ました。まで1枚、と」
「お1でしたか」
「ええ、お1でした。こちらも聞いたんですよ。お1でいらっしゃるんですか、と。
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するとその、答えを濁したんです。目をわせず、何度もろを振り返っていました。それで備考にき留めたんです」
「相は」
「40代半ば。肉背。の着だったといます」
宅は京へ戻ると、司に報告しました。
証拠は、27の“親孝な男”へまっすぐ向かっていました。
2015915。
72歳になった佐倉が、警察署に姿を現しました。
取調に入ったは、老いてさく見えました。
髪交じりのをげ、子に腰をろすと、乾いた唇を何度も舐めました。
宅は正面に座り、静かに尋ねました。
「佐倉さん、1988925、お母様とのに何があったんですか」
は27とまったく同じ答えをにしました。
「京駅への流れを眺めにき、そこで母を見失いました」
宅は1枚の類を机に置きました。
「あのの午1015分、お母様の通帳から5万円を引きしていますね。代理としてあなたの署名も残っています」
の肩がかすかに揺れました。
「母が入用だと申しましたので」
「そして午120分、同じ通帳を解約されています」
は何も返せませんでした。
宅はもう1枚の類を置きました。
「同じの1232分、京駅できの乗券を買っていますね。1枚だけ」
「いえ、それは違います」
はさく首を振りました。
「窓の駅員が覚えていました。の男が1で来て、落ち着かない様子で切符を買ったと証言しています。
なぜお母様の分は買わなかったんですか」