"雨の美容室ローズ" 第11話
誰かにひどい目に遭わされたのでもなかった。
ましてや、自分を捨てたのでもなかった。
母は最の最まで母らしく、そして母自らしくきていたのです。
困っている古い友のたった1つの願いを叶えようとして、優しさのままに約束を果たそうとして、そして力尽きた。
それが母の最でした。
「母さん……」
美佐さんは、見つかった母の遺骨をそっと胸に抱きしめました。
い、母をんだとはいたくありませんでした。葬式もさず、墓もてず、ただどこかできていると信じることだけが、自分を支えてきました。
けれど今、こうして母の最をって、美佐さんのには議な静けさが訪れていました。
宙ぶらりんの10でした。
母はきているのか、んでいるのか。
どこにいるのか。
なぜ消えたのか。
何1つ分からないまま、ただ待ち続けるしかなかった苦しい10。
その10に、ようやく終わりが来たのです。
「母さん、お帰り。やっと、やっと帰ってこられたね」
美佐さんは涙を拭いながら、そう呟きました。
それはしみの涙であると同に、10分の堵の涙でもありました。
刑事は、そんな美佐さんの姿をしれたところからじっと見守っていました。
10、自分の胸の奥につかえ続けていたあのしこり。
見落としてはいなかったか。
あと歩踏み込めなかったのか。
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そんなの悔いも、今ようやくろすことができたのです。
「これで、ようやく片がつきました」
はぽつりと呟きました。
定を目に控えた最の事件。
それをこうして終わらせることができたことは、刑事として何よりの救いでした。
季節は巡っていました。
2が福島から戻り、で真実が見つかったのは、そののの初めのことでした。10、しず子さんが消えたのとちょうど同じ、のい6でした。
けれどそのの梅は、10とは違っていました。折、柔らかな差しが差す、穏やかな空のもありました。
美佐さんは、母と、そして母の切な友であった誠さんを、同じで弔うことにしました。
寄りのなかった誠さんのために、美佐さんはさな墓をててあげました。
「母さんと誠さん、2を緒にしてあげたかったんです」
美佐さんはそう言って、墓にを向けました。
それは誠さんの故郷でもあり、母の魂の故郷でもある、あの福島のあいのに咲いていた野のでした。
ローズのはもうありません。
赤い庇も、バラの絵も、今はどこにも残っていません。
けれど、あの古い商には、今もしず子さんを覚えているたちがいました。
腰の曲がった干物の田所さん。
を取っても相変わらずを並べる本さん。
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そして、かつてローズに通ったたくさんの町の女たち。
「しずちゃんはね、本当に優しいだったよ」
「あのに髪を切ってもらうと、なんだかまで軽くなったものだ」
「最まで、しずちゃんらしいき方だったね」
々は々に、しず子さんのことを懐かしそうに語りました。
その言葉を聞きながら、美佐さんはいました。
母は消えてなどいなかった。
母のきた証は、こうしてたくさんのののに確かに残っている。
母が注いだ優しさは、町のたちのので、今も温かくき続けている。
2003のの夕方、赤い庇のの戸を1の男がけたところから始まったこの物語。
止まったままのハサミ。
つかずのレジ。
置きりの財布。
10、誰にも解けなかった謎。
その謎の正体は、恐ろしい事件でも、暗い謀でもありませんでした。
それは、いに交わされ、い歳を隔てて最にひっそりと果たされようとした、1つの切な約束の物語だったのです。
のの底で、2は10ものい、寄り添うように静かに眠っていました。
きっと最に見たのは、懐かしい故郷の景だったのでしょう。
棚田に張った青い。
の緑。
そして、まだ何者にも汚されていなかった若きの2の笑顔。
美佐さんは墓で静かにをわせました。
「母さん、もう丈夫。
ちゃんと分かったから」
がの々を揺らしました。
まるで、しず子さんがくから優しく頷いてくれたようでした。
く止まっていたが、ようやくきしました。
そして美佐さんは、母のいない世界を、今度こそを向いて歩き始めたのです。