"寿司屋で暴かれた嫁" 第2話
けれどになって、言わなくてもよかったのではないかと、しだけ胸がざわついたのです。
それからも、美咲さんは々、おの話をするようになりました。
「お母様、定期預はどちらのですか。利の見直しとか、やっておいた方がいいですよ」
「保険の受取は、もう浩司さんに変更されましたか。ご主がくなられてからそのままだと、続きが面倒になることもありますから」
「この、築数にそろそろリフォームが必ですよね。信頼できる業者をりいに紹介できますよ」
1つ1つは、親切からの言葉に聞こえました。事実、美咲さんはいつも笑顔で、押しつけがましいところはありませんでした。
ただ、話がいつもおのことになるのです。
ある、私は浩司に話でそれとなく相談してみました。
「ねえ、美咲さんって、うちの財産のことをし気にしすぎじゃないかしら」
話の向こうで、浩司は笑いました。
「何言ってるの、母さん。美咲は配してくれてるだけだよ。母さんが1暮らしだから気遣ってくれてるんじゃないか。ありがたいといなよ」
その言葉に、私はさく息を吐きました。
「そうよね。私の考えすぎよね」
こんなに優しいお嫁さんを疑うなんて、私の方がおかしいのかもしれない。そう自分に言い聞かせました。
10に入ると、朝晩のがすっかりたくなりました。
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庭の柿のがたくさん実をつけ、正男がいた頃は毎2で取っていたなと、し傷になる季節でした。
そのの半ばの曜の朝、美咲さんから連絡が入りました。
「お母様、今おありますか。たまにはお嫁さんとお寿司でもいかがですか。お昼をご緒しませんか」
私はわず声をげて笑ってしまいました。
嫁と2でお寿司。何だか照れくさいけれど、嬉しかったのです。
所に「寿司」というさなお寿司さんがあります。カウンターだけの10席ほどので、主の田さんが1で握っています。もう30く続いている元の気で、正男がきていた頃から通っていました。
将の田さんとはもく、夫がくなったも「節子さん、つらいはべに来なよ」と言ってくれた、気のいいです。
私は美咲さんに返信しました。
「いいわね。所にいいお寿司さんがあるの。寿司って言うんだけど、美咲さんもきっと気に入るとうわ」
鏡のでしだけおしゃれをしました。物のカーディガンを羽織り、夫の形見のブローチを胸元につけました。
お昼、美咲さんが迎えに来てくれ、2で寿司へ向かいました。の曜、空は気持ちよくれていて、商には買い物帰りのがちらほら歩いていました。
「わあ、雰囲気のあるおですね」
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のにつと、美咲さんが嬉しそうに言いました。い簾がに揺れ、内からは醤油と酢飯の懐かしい匂いが漂ってきます。
「でしょう。将が1で握っているの。ネタも鮮で、所じゃここが1番よ」
私はし自げに言って、簾をくぐりました。
「こんにちは」
カウンターのでは、田さんがいつものようにい板姿でっていました。まな板のにはる包丁。ネタケースにはきれいに魚が並んでいます。ちょうど先客が帰ったところだったのか、内には私たちだけでした。
「いらっしゃい。節子さん、久しぶりだね」
田さんが顔をほころばせました。65歳。髪交じりの髪に、焼けした顔。きなで布巾を握ったまま懐っこく笑う姿は、何経っても変わりません。
「ご無汰しちゃって。今はね、息子のお嫁さんと緒なの」
私はし照れながら、隣の美咲さんをで示しました。
「へえ、浩司君のお嫁さん。そりゃいいらし……」
そこで、田さんの声が止まりました。
最初は、言葉に詰まっただけかといました。
でも違いました。
田さんの顔から、みるみる血の気が引いていくのが分かったのです。目が見かれ、が半分いたまま固まっていました。握りかけていた寿司が、ぽとりとまな板のに落ちました。
「将?」
私が声をかけても、田さんは美咲さんの顔から目をしませんでした。
まるで幽霊でも見たみたいな顔をしていました。