"橋の下で見つけた孫" 第9話
そして、美咲への接禁止命令もされた。
ゆかりは両で顔を覆い、逃げるように法廷から駆けした。
裁判所をると、は眩しいほどの太陽だった。
里子は空を見げた。
かった戦いが、ようやく終わった。
その、ネットの誹謗傷は嘘のように消えた。のひらを返したように、「甘鈴」を応援する声が全国から届くようになった。
を再した、シャッターのには営業再を待つ客の列ができていた。
剣太はの継者として、しずつ自信を取り戻していった。伝統のを守りながら、オンライン販売や商品の発にも力を入れた。
美咲はのさな板娘になった。里子に菓子の作り方を教わり、さなで懸命あんを丸める姿は、客たちを笑顔にした。
ある夕方、を閉めた、美咲が里子の隣に座った。
「おばあちゃん、美咲ね、きくなったらおばあちゃんみたいになるの」
「どうして?」
「だって、おばあちゃんは世界で1番くて優しいから。パパと美咲を守ってくれたから」
里子の目から、温かい涙がこぼれた。
失われた3は戻らない。
けれど、これから築いていく未来は、きっともっと輝く。
数、里子は恩田に調べてもらった所を頼りに、ゆかりが暮らす古いアパートを訪れた。借取りから逃れるように暮らすその部からてきたゆかりは、かつての華やかさを失っていた。
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里子は袋を差しした。
には焼きたてのどら焼きと、温かいお茶が入っていた。
「べなさい」
ゆかりは信じられないという目で里子を見た。
「何なの。馬鹿にしに来たの?」
「いいえ。ただ、これを渡そうとっただけよ」
ゆかりは震えるで袋を受け取った。やがてそのに崩れ落ち、声を殺して泣き始めた。
それは法廷で見せた偽りの涙ではなかった。
全てを失ったの、空っぽの泣き声だった。
里子のに、もう憎しみはなかった。
「あなたもいつか、本当に幸せになって」
それだけ告げて、里子はそのをちった。
許すとは、忘れることではない。
憎しみの鎖から、自分自を解き放つことなのだと、里子はその初めて理解した。
鎌倉のへ戻ると、剣太と美咲が待っていた。
「おばあちゃん、おかえり」
美咲が駆け寄ってくる。
里子はそのさな体を抱きしめた。
数週、3は正の墓参りにった。磨かれた墓にを供え、里子は静かにをわせた。
「あなた、見ていますか。剣太も美咲も、こんなに派になりましたよ。あなたのしたこのも、この族も、私が守りましたからね」
帰り、夕が3のをく伸ばしていた。
「おばあちゃん、おじいちゃん、んでくれたかな?」
美咲が里子のを握って尋ねた。
「ええ。きっとんでいるわ」
里子は孫娘の髪を撫でた。
はに、残酷な試練を与える。
全てを失い、絶望の淵にたされることもある。
けれど里子はった。
憎しみは何もまない。
と優しさだけが、を再びちがらせる力になる。
あの、ので見つけたさなは、今、里子の隣で太陽のように輝いている。
に戻り、里子はいつものように簾をしまった。
夕に染まる鎌倉の並みを眺めながら、里子は静かにつぶやいた。
「は、何度でもやり直せるものね」
その顔には、全ての苦難を乗り越えた者だけが持つ、く穏やかな微笑みが浮かんでいた。