"消えた教師と127番の鍵" 第2話
田は積極に幸恵にづき、研修が終わったも連絡を取り続けた。
週末には、松本まで会いに来ることもあった。
最初、幸恵は戸惑っていた。だが、田の態度は見すると誠実で、引さのにもさがあった。幸恵はしずつをき、2は約3ヶ交際した。
けれど、が経つにつれて、田の態度は変わっていった。
話が引くと、彼はすぐに問い詰めた。
「誰とそんなにく話していたんだ」
学の男性同僚と昼をべたと話すと、嫌になった。週末に会えないと言えば、学のまで来て待っていることもあった。
幸恵は、息が詰まるようになった。
田の関は、ではなく監のようにじられた。
19979末、幸恵は慎に切りした。
「私たち、し距を置いたほうがいいとう」
田はそのでは理解したようにうなずいた。しかし、そのを境に、連絡はさらに執拗になった。
1に10回も話がかかってきた。学にもが届いた。
「君なしではきていけない」
「もう度だけチャンスをくれ」
幸恵は恐怖をじ、同僚に相談した。しかし返ってきた言葉は軽かった。
「無していれば、そのうち諦めるわよ」
1997当、ストーカーという言葉はまだ今ほど般ではなかった。幸恵自も、これをきな事件として扱うべきなのか分からなかった。
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199710初め、田は最の提案をした。
「アルプスの登で会おう。最にもう度、ちゃんと話がしたい」
幸恵は話で首を横に振った。
「会う必はないわ。もう終わったことでしょう」
話を切ったも、は残った。
それから1週、田からの連絡はなかった。
幸恵は、ようやく諦めてくれたのだとった。
母にも弟にも、そのことは話さなかった。配をかけたくなかったからだ。
そして19971012、曜の朝。
幸恵はいつものように登の準備をした。
赤いジャケットを着て、黒いリュックを背負い、の銭入れをポケットに入れる。
その、ふとが止まった。
今はにいようかな。
そうった。
しかし幸恵は、すぐに首を横に振った。
へけば気持ちがれる。
そう自分に言い聞かせた。
「お母さん、ってきます。お昼までには帰るね」
ふみは台所から顔をし、いつものようにを振った。
「気をつけてってらっしゃい」
幸恵は静かにをた。
朝の630分だった。
それが、族が彼女の姿を見た最になった。
19971012、曜。
朝の空気はえ込んでいた。の晩にがったため、はし滑りやすくなっていた。
それでも幸恵にとっては慣れただった。彼女はバスに乗り、アルプスの登へ向かった。到着したのは午740分頃だった。
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登の詰所はすでにいていた。
そのの朝当番は、50代半ばの職員、鈴郎だった。鈴は幸恵の顔を覚えていた。よく1で登り、丁寧に挨拶をしていく女性だったからだ。
午745分、幸恵は入届に名をいた。
佐藤幸恵。松本。目は頂。
鈴が声をかけた。
「今はし気が悪いですが、丈夫ですか」
幸恵は穏やかに笑った。
「はい、丈夫です。頂までったら、すぐに戻ってきます。4もあれば分です」
鈴は、そのの幸恵がいつもと変わらなかったことを覚えていた。そうでも、焦っている様子でもなかった。
幸恵はリュックを背負い直し、登へ向かった。
ところがその20分、午85分頃、奇妙なことが起こった。
鈴が数分だけトイレにき、戻ってくると、入届にしい名がき加えられていた。
佐藤幸恵。
同じ名だった。
しかし跡は違っていた。連絡先と所は空のままだった。
鈴は首をかしげた。
さっきの先が戻ってきたのだろうか。
だが、トイレにっていたのは3分ほどだった。そのに幸恵が登から戻ってきて、もう度名をくことは能にえた。
実は鈴が席をす直、1の男が詰所にづいていた。
黒い子をくかぶり、の防ジャケットを着た痩せた男だった。は175cmほど。
男は入届をちらりと見てから、鈴に尋ねた。
「トイレはどこですか」
鈴が所を示すと、男はく礼を言って歩いていった。
そのわずかなに、誰かが幸恵の名をもう度き加えたのだった。