"赤城山に消えた幸" 第6話
方、苗だけは諦めなかった。
公式な捜索が終わったも、毎週末になると赤へ向かった。妹が最に歩いたをたどり、見落としたがかりがないか探した。
ビラも作った。
妹の写真と連絡先を載せ、赤の入や周辺のに貼って回った。登客に配ることもあった。
あるは、の入で1プラカードを持ってっていた。
「妹を探しています」
「目撃報を求めています」
通り過ぎる々はを止め、同するような目を向けた。
しかし、力な報は寄せられなかった。
季節は過ぎていった。
が終わり、が来た。
赤は濃い緑に覆われたが、幸の痕跡は見つからなかった。
には葉がを赤く染めた。
苗はその景を見るたび、妹が好きだったを憎みたくなった。だが憎めなかった。幸を救ってくれた所でもあったからだ。
が来た。
赤に初がったも、苗はを歩いた。たいが頬を刺し、袋のの指がしびれた。
それでも彼女は妹の名を呼んだ。
返事はなかった。
方、田健は別の活を送っていた。
青峰の活からは距を置き、別の岳会に入会した。赤ではなく、群馬郊の別のに登るようになった。
週末になるとで撮った写真をインターネット掲示板に投稿した。
「今も良いでした」
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「自然がくれる癒しをじました」
しい会員たちと酒をみ、笑いながらの話をしている彼の姿には、表面、も恐怖も見えなかった。
だが、夜になると違った。
1になると、彼は決まって酒を取りした。気を消したリビングで、窓のを見つめながら焼酎をんだ。
そこにあるが恐怖なのか、罪悪なのか、誰にも分からなかった。
2006になった。
事件発から1がづいていた。
苗は1周忌にわせて、ささやかな追悼会を計画した。妹の会社の同僚や親しい親戚だけを集め、内々でうつもりだった。
遺体がないため、まともな葬儀もできていなかった。
35。
ちょうど1に妹が姿を消した、苗は赤の入にっていた。胸には妹の写真を抱いていた。
「必ず見つけるから」
彼女はので誓った。
「どんな形でも、必ずに連れて帰るから」
同じ頃、鈴刑事も事件を忘れられずにいた。未解決扱いとなったも、々ファイルを取りしては見返していた。
田健。
に最まで緒にいた男。
首を痛めたと言いながら、を引きずった証言はない。
林の分岐点で警察犬の痕跡が途絶えた理由。
何かがつながりそうで、つながらなかった。
は無に過ぎ、々の記憶はれていった。
だが、真実は消えていなかった。
ただ、見つからない所に隠されていただけだった。
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2006412。
赤の麓でさな荘を営んでいた伊藤孝介が、72歳でくなった。肺がんの闘病の末だった。
伊藤の荘は、登から約2kmれた、里かられた所にあった。かつては登客が利用していたが、5に営業を止していた。
伊藤がくなると、相続問題が浮した。
子どもは2いたが、どちらも京にんでいた。群馬の廃荘は、彼らにとって管理が難しい厄介な産だった。
相続たちは荘を売却することに決めた。
しかし、そのままでは売れない。最限のリフォームが必だった。
425、解体とリフォームの事が始まった。
そして428、浄化槽のから、1体の遺骨が発見された。
鈴刑事は現で登靴と指輪を確認した、苗に連絡を入れた。
指輪の特徴を告げると、話の向こうで苗は息を呑んだ。
「それは……妹がいつもにつけていた指輪です」
彼女の声は涙で震えていた。
「くなった母から譲り受けたものです」
鈴刑事は目を閉じた。
1探し続けた方者は、のではなく、廃荘の浄化槽のにいた。
遺骨と遺留品は科捜研へ送られ、DNA鑑定がわれた。
53、結果が届いた。
遺骨のDNAは、幸のものと致した。
因は、部損傷によると推定された。
鈍器による力が加わった痕跡があった。
これは単なる方ではない。
殺事件だった。
捜査はたな局面に入った。
鈴刑事は、まず荘をっている物を調べた。